三井住友フィナンシャルグループ、米国で個人向けデジタルバンキング事業に参入へ

(米国、日本)

ロサンゼルス発

2022年08月25日

三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ、本社:東京都)は824日、米国カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点とするSMBCグループ傘下のマニュファクチャラーズ銀行(本社:カリフォルニア州ロサンゼルス)の1部門として、デジタルリテールバンク「ジーニアス・バンク(Jenius Bank)」を立ち上げ、米国在住者個人向けのデジタルバンク事業に参入すると発表した。

ジーニアス・バンクは、複数のテクノロジー企業と連携して銀行基盤システムを構築し、実店舗を持たないデジタルバンクとして事業を展開する。今後数カ月のうちに個人向けローンの提供を始め、設立初年度中には貯蓄預金や当座預金の取り扱いも開始する予定。ジーニアス・バンクの責任者には、シチズンズ・バンクのデジタルバンク部門の責任者を務めたジョン・ローゼンフェルド氏が就任し、従業員は、一部の職種を除いて完全リモート勤務とし、全米各地から採用する。

米国で事業を行う邦銀の最近の動向をみると、20219月に三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)が西海岸を中心に事業を展開する傘下のMUFGユニオンバンクの売却(2021年9月24日記事参照)、静岡銀行がロサンゼルス支店のシリコンバレーへの移転(2021年10月6日記事参照)をそれぞれ発表し、米国事業の再構築を進めている。邦銀は米国内では法人取引を中心に事業を展開しており、MUFGユニオンバンクを通じてリテール事業も大規模に展開していたMUFGは、実店舗の展開や各種金融規制への対応に伴う収益性の低下から、上述のとおり、MUFGユニオンバンクを売却し、リテール事業から撤退を決めている。

SMBCグループは、日本国内での低金利環境の継続による経営環境の悪化から、成長が見込める海外事業の強化を進めており、今回のジーニアス・バンクの設立により、米国での収益基盤の拡大を目指しているとみられる。米国において、デジタル技術を活用した個人向け金融事業の成否が注目される。

(永田光)

(米国、日本)

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