カナダ政府、ドイツ政府との水素輸出協力に関する共同声明に調印

(カナダ、ドイツ)

トロント発

2022年08月25日

カナダのジョナサン・ウィルキンソン天然資源相とドイツのロベルト・ハーベック副首相兼経済・気候保護相は823日、カナダのクリーン水素をドイツへ輸出するための協力を約束する共同声明に調印したことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ニューファンドランド・ラブラドール州スティーブンビルで行われた調印式には、カナダのジャスティン・トルドー首相とドイツのオラフ・ショルツ首相も同席した。

調印された「カナダ政府とドイツ連邦共和国政府との間のカナダ・ドイツ水素アライアンス設立に関する共同意思表明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」では、(1)政策の調和を通じた水素プロジェクトへの投資実現、(2)安全な水素サプライチェーンの開発支援、(3)大西洋をまたぐカナダ・ドイツ間の供給回廊の確立、(42025年までにカナダのクリーンな水素を輸出、に取り組むことが約束されている。共同声明には法的拘束力はなく、目標進捗の確認は、カナダの天然資源相とドイツの経済・気候変動対策相に任されている。

カナダ政府は、本アライアンスは「カナダ水素戦略」に基づくもので、クリーン水素の世界トップサプライヤーになるという目標に向けた一歩を踏み出すものだとした。同水素戦略は、2050年までの温室効果ガス排出ネットゼロ達成に向けて202012月に公表されたもので、カナダを水素の主要輸出国かつ水素技術のグローバルリーダーとするための野心的な枠組みを定めている。

ドイツのショルツ首相は会見で、「2020年発表のドイツの国家水素戦略では、ドイツは2030年までに90110テラワット時の水素が必要になると予想しており、ドイツ国内での生産能力増強計画はあるものの、大部分は輸入で賄う必要がある。この予測はロシアの侵略戦争前の数字に基づいており、新しい状況下では、われわれのニーズはさらに高くなる可能性がある」と述べ、「長期的には、風が強く人口が少ないカナダ大西洋諸州のグリーン水素に真の可能性がある」と期待を示した。

また、カナダのウィルキンソン天然資源相は、2025年までのクリーン水素の輸出開始という目標が非常に野心的であることを認めたうえで、風力や水力などの再生可能エネルギーを動力源とする、さまざまな開発段階にある約15の水素製造事業について把握しており、「そのうちの少なくとも1つか2つは、2025年までに生産できるようにしたいと考えている」と述べた(「グローブ・アンド・メール」紙823日)。

(飯田洋子)

(カナダ、ドイツ)

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