タイでサル痘の感染症例を3件確認

(タイ)

バンコク発

2022年08月05日

タイ保健省疾病管理局によると、83日時点で、タイ国内でサル痘の感染症例が3件確認されている。1件目は718日、南部プーケット県に滞在していたナイジェリア人の感染が確認された。2件目は727日、バンコクに居住していたタイ人の感染を確認。そして、83日に3件目の感染が公表された。プーケットへの旅行を予定していたドイツ人で、718日にタイに入国した者だ。

世界保健機関(WHO)がサル痘の発生を「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」としたことを受け、保健省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます724日、全国の感染状況を監視するため「緊急オペレーションセンター(EOC)」を設置。全ての衛生管理検問所に対して、高リスク国からの入国者のスクリーニングにおいて、入国管理局と密に連携するよう指示した。アヌティン・チャーンウィラクン副首相兼保健相は国民に対して、「まだ海外からの入国を制限する必要はない。サル痘は新型コロナウイルスほど感染力が強くないと思われ、パニックにならないようにしてほしい」と呼びかけた。

725日に開催された感染症法(2015年)に基づく学術委員会会議外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、サル痘を従来同様に「監視下の感染症」に添え置いた。その上で、同会議の委員長であるソムワン・ダーンチャイウィジット教授は、国民の安心感を高めるため、海外からの入国者などについては、より高い監視レベルの対象とすることを決定した(注1)。

729日にスクリーニングを受けた入国者は、欧州からの2,389人、アフリカからの138人の合計2,527人だったが、サル痘の疑いのある症例は発見されなかった。

疾病管理局外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのオーパート・カーンカウィンポン局長は「現在、実施されているサル痘のまん延防止策は、入国者のスクリーニングと医療機関における患者の監視だ」と述べている。オーパート局長によると、政府医薬品機構(GPO)は、第3世代のサル痘ワクチンを1,000回分調達するべく調整している。当該ワクチンは8月後半に届けられ、医療関係者など特定のグループにのみ提供される予定。

(注1)より監視レベルの高い、「センチネル・サーベイランス(特定グループや地域の監視を意味)」において、外国人入国者を監視する方針。

(注2WHOは、暫定ガイダンスの中で、サル痘感染予防に有効だとして、第3世代のワクチンを推奨。

(藤田豊、ナオルンロート・ジラッパパー)

(タイ)

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