サル痘の感染者11人、保健省は国民全員へのワクチン接種実施せず

(シンガポール)

シンガポール発

2022年08月03日

シンガポール保健省は727日、国内初のサル痘感染者を620日に確認して以降、727日までに合計11人の感染者を確認したと明らかにした。感染が確認された11人のうち、5人が海外からの外国人渡航者または渡航先で感染した国民で、残り6人が国内での感染者だった。保健省によると、11人の間に互いに関連性はなく、いずれも症状が安定している。

オン・イエクン保健相は同月25日、自身のフェイスブックで、サル痘が自己限定性の疾患(特段の治療がなくても自然治癒が可能な疾患)だと指摘した。その上で、サル痘予防のための天然痘ワクチン接種について、「現段階では、ワクチンの効果よりもリスクが高いため、全国民を対象とした接種を推奨しない」との考えを示した。同保健相は同月4日、国会質問に対する書面回答で、天然痘ワクチンがサル痘予防に85%の予防効果があるものの、重篤な副作用をもたらす可能性もあると説明していた。一方、保健省は、医療従事者や研究所で働く人で業務上、常にサル痘の患者や検体に接する一部の人々について、ワクチン接種の必要を検討している。

サル痘の感染者は現在、国立感染症センター(NCID)で治療を受けている。保健省は感染者の濃厚接触者について、接触日から最長21日間、隔離している。また、感染リスクや重症化を防ぐため、曝露(ばくろ)後予防(post-exposure prophylaxis)措置として天然痘ワクチンのワクチン接種を提供している。

政府は729日現在、今回のサル痘の感染確認を受けて、水際対策は強化していない(注)。同国では現在、空路・海路で入国する際に、入国前3日以内にオンラインの入国カード「SGアライバル・カード外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の中で、自身の健康状態を申告する必要がある。また、入国時にサル痘の症状が疑われる渡航者については、診察が求められる。

(注)シンガポールの最新の入国時の書類、手続きの詳細は、入国管理局(ICA)のセーフトラベルのホームページ参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(本田智津絵)

(シンガポール)

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