スーダンのフィンテック企業が650万ドルのシード資金調達

(スーダン)

カイロ発

2022年08月02日

スーダンを拠点とするフィンテック企業のブルーム(Bloom)は650万ドルのシード資金を調達したと720日付プレスリリースで発表した。出資者には、米国企業のビザ(Visa)、Yコンビネーター(Y Combinator)、グローバル・ファウンダーズ・キャピタル(Global Founders CapitalGFC)、グッドウオーター・キャピタル(Goodwater Capital)、アラブ首長国連邦(UAE)を拠点とするベンチャー・スーク(Venture Souq)のほか、個人投資家も含まれる。

Bloom2021年にアハマド・イスマイール氏らスーダン人が設立したフィンテック企業。ドル建てで預金し、スーダン・ポンド建ての商品・サービスの支払いができるデジタル・バンキング・サービスを無料で提供している。スーダン・ポンドの変動は激しく、2020年から2021年の1年間で、対ドル価格は公定為替レートで約5分の1に低下しているが、ドルで預金することで顧客は貨幣価値を損なわずに資産形成を行うことが可能だ。また、輸出開発銀行と預金決済分野で提携し、国外に住むスーダン人からの送金を無料で受け取ることもできる。Bloomはこれらの預金や外貨送金、その他の補助的な取引の利息から収益を上げている。

今回のシード資金は、エチオピア、ケニア、ルワンダ、タンザニア、ザンビアなどの東アフリカ地域へ事業拡大する資金に使われる見込みだ。同地域の人口は約5億人で年齢の中央値は18歳と若く、中産階級が拡大しているため、デジタルバンキング市場として今後さらなる発展が予測されている。アハマド最高経営責任者(CEO)はリリースの中で「スーダン国内でビジネスを拡大する。年末までに少なくとも1つの市場に参入し、2023年初めにはさらに23の市場に参入する予定」としている。

なお、今回のVisaからの出資は、これまでスーダン国内でフィンテック企業が受けた出資の中で過去最高額となった。Bloomは、Visaが提供する「フィンテック・ファスト・トラック・プログラム」(注)に初めて参加したスーダン企業となっており、このことが今回の出資につながった。Visa20218月ごろからスーダンで事業を開始しているが、Bloomへの投資を通じて、東アフリカ地域の潜在需要を獲得することを目指している。

(注)Visaのネットワークを活用してフィンテック企業をサポートするVisaのグローバル戦略の1つ。プログラムに参加した企業は、資金面のサポートやカード発行手続きの簡略化などを受けられる。

(齊木隆太朗)

(スーダン)

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