個人情報保護法違反の苦情申し立てにかかる細則公布
(タイ)
バンコク発
2022年08月18日
タイの個人情報保護委員会(PDPC)は6月29日、「苦情の申し立て、受理拒否、却下、検討、検討期間に関する規則(仏暦2565年)」を公布した。同規則は7月11日に官報に掲載され、7月12日に施行された。同規則の要点は以下のとおり。
(1)苦情の申し立て
データ対象者(従業員、サプライヤー、ベンダー、卸売業者、顧客を含むデータ主体)はPDPC事務局に対し、郵送や電子的手段、PDPC事務局が定めるその他の手段により、苦情を申し立てることができる。苦情は明確で理解しやすく丁寧に説明され、脅迫的な性質を持たず、必要最低限の情報と証拠(苦情申立人の詳細、申し立てられた違反の事実と関連情報、苦情申立人の損害など)を含む必要がある。苦情は、PDPC事務局が定めるフォーマットに従う必要がある。
(2)苦情の受理拒否、却下、申し立ての検討期間
PDPC内の担当官は申し立てを受領した日から15日以内に、必要事項と証拠資料が提供されているかどうかを確認する。申し立て一式の確認の後、PDPA担当官はさらに15日以内に申し立て内容を検討・分析する。その後、PDPC事務局長を通じてPDPCに設置された専門家委員会(EC)に提出し、ECが検討するといったフローとなる。
ECは以下の場合、苦情の申し立てを拒否したり、棄却したりすることができる。
- 苦情申し立てに必要な情報や証拠に不備がある場合
- 苦情が、過去にECに提出されて確定済みの案件と同様の場合(申し立て当事者と内容が過去に解決済みの事案と同じ場合など)
- データ管理者やデータ処理者、それらの従業員または契約者の誰もがPDPAまたはPDPC規則上の違反を犯していない場合
- 他法令により、当該問題を検討する当局が別途ある場合
- 苦情が根拠のないものである場合
申し立てられた係争は当事者双方が合意した場合、調停によって解決することができる。当事者双方による解決が不可能な場合、ECはさらに苦情を検討する。データ管理者やデータ処理者、その従業員、または委託先業者が違反を犯したことを証明する明確な証拠があると認められた場合、罰則を定めたPDPA第90条に基づき、違反者に行政罰が科されることとなる。
上記規則に加えて、PDPCは「ECの資格と禁止事項、任期、休職、その他の業務に関する通知(仏暦2565年)」を公布している。7月11日に官報に掲載され、7月12日に施行された。
(北見創、シリンポーン・パックピンペット)
(タイ)
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