米政府で新型コロナ対策率いたファウチ所長、12月で退任を表明

(米国)

ニューヨーク発

2022年08月23日

米国のバイデン政権で首席医療顧問を務めるアンソニー・ファウチ国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長は822日、2022年12月で公職を退くとの声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

ファウチ氏は共和党のロナルド・レーガン大統領以降、7人の大統領の下でNIAID所長を38年間務めており、国内きっての感染症の専門家といわれる。トランプ政権下で始まった新型コロナウイルスの感染拡大以降は、政権の医療顧問として対策の陣頭指揮を担ってきた。経済再開を急いだドナルド・トランプ前大統領とは新型コロナウイルス感染対策の方針で意見を異にする場面もあったが、ジョー・バイデン大統領は留任を依頼し、これまでその職務を継続してきた。ファウチ氏は、バイデン政権初日から大統領の首席医療顧問を務めることができたことを特に誇りに思うとしている。なお、同氏は公職からは退くものの引退はしないとしており、これまでの経験を生かして、科学と公衆衛生の前進や、次世代の科学界のリーダー育成に取り組むとしている。

バイデン大統領はファウチ氏の退任表明を受けた声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、ファウチ博士は最も危険で困難な公衆衛生危機の最前線で数十年にわたって英知と洞察力に磨きをかけた献身的な公職者であり揺るぎない人物だとし、「博士は米政府を去ることになるが、彼が次に何をなすかにかかわらず、米国民および全世界はファウチ博士の知見から恩恵を受け続けるだろう」と同氏の功績を評価するとともに、今後の活躍への期待を示した。米疾病予防管理センター(CDC)のロシェル・ワレンスキー所長もツイッターで「ファウチ博士の50年以上にわたる功績は、私も含めて米国内の多くの人々の生活に影響を与えた。新型コロナウイルス感染対策で、彼と職務をともにできたことは特権であり、誇りだった」との声明を出している。

(磯部真一)

(米国)

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