中央銀行、輸入時支払いユーザンスの360日まで延長を発表

(バングラデシュ)

ダッカ発

2022年07月28日

バングラデシュ中央銀行(Bangladesh BankBB)は720日、工業用原材料や農業器具、化学肥料の輸入における支払いユーザンス(輸入代金支払い猶予)を最大180日間から360日間に延長することを発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。主な内容は以下のとおり。

  • 202216日の支払いユーザンス延長に関する通達PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)により、工業用原材料〔バック・ツー・バック輸入(注)も含む〕や農業器具、化学肥料の輸入における支払いユーザンスについて、従来の外国為替取引ガイドライン〔第733a)ii)および33(a)(iv)〕で規定されている最大180日間のところ、270日に延長する時限措置(2022630日まで)を講じていた。
  • 今回の追加措置により、20221231日までは、ユーザンスは180日から最大360日間に延長する。なお、本措置は、BBが運営する輸出開発基金(Export Development Fund)のもとで輸入される財には適用されない。

バングラデシュ政府は、外貨準備高の減少を抑制するため、信用状(LC)開設条件を厳格化するなどさまざまな措置を講じている。しかし、今回の輸入にかかるユーザンス延長については、輸入者側のドル不足を理由に輸入支払いが困難となっているためとみられる。一方、工業用原材料などの輸入のためのLC開設時には、輸入額の75%以上の保証金を拠出する必要がある(2022年7月19日記事参照)。そのため、与信枠が保証金に費やされてしまうと、手元資金が銀行でホールドされる期間が長くなり、新たな輸入のためのLCが開設できないなどの影響が出る可能性がある。日系企業が輸出者となる際には、輸入者のLC開設に同様の影響を受ける可能性もあり、輸出にも影響が及ぶ懸念があるため、状況を注視する必要がありそうだ。

(注)最終製品を輸入するために輸入者が開設した信用状(LC)を担保とし、輸出者が原材料などを輸入するスキームのこと。

(安藤裕二)

(バングラデシュ)

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