米イリノイ州知事予備選、民主党は現職、共和党はトランプ氏支持候補が勝利

(米国)

シカゴ発

2022年07月08日

米国イリノイ州で628日、知事選挙(118日)に向けて各党の候補者を選出する予備選挙が行われた。民主・共和両党合わせて7人が立候補し、民主党では2期目を目指す現職のJ.B プリツカー氏が91.8%を得票して勝利した。共和党では同州上院議員のダレン・ベイリー氏が得票率57.7%で勝利した。

プリツカー氏は、世界的なホテルチェーンのハイアットの後継者で、純資産は36億ドル(2022年)に達し、米国で最も裕福な政治家の1人として知られている。同氏は選挙活動中に「ベイリー氏の政策はイリノイ州にとって保守的に過ぎる」と主張し、共和党予備選での同氏勝利について「ベイリー氏は、差別主義者で、2度も弾劾されたドナルド・トランプ前大統領の支持を受け入れた。そのような人物にこの州の知事という立場に近づく資格はない」と強い口調で批判した。

一方、州上院議員で農業従事者でもあるダレン・ベイリー氏は保守派で、銃の所持を肯定し、人工妊娠中絶の権利に反対している。今回の共和党候補の中で最も保守派といわれている同氏は、新型コロナウイルス禍でイリノイ州がロックダウンとなり、マスク着用が義務された際、それに反対して知名度を上げた。同氏は20204月に自宅待機命令をめぐって知事のプリツカー氏を提訴したほか、20205月にはマスク着用を拒否して州議会から退場させられた経緯がある。今後、同氏の選挙活動は、プリツカー氏に対して階級闘争を仕掛け、一般市民とは無縁のリベラルな「常識外れでエリート主義の億万長者」だと批判することに終始するだろうとの意見も出ている。

なお、現時点では、現職のプリツカー氏が再選されるとの見方が強い。

(星野香織)

(米国)

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