6月のインフレ率、前年同月比4.35%、2022年通年では6%予測も

(インドネシア)

ジャカルタ発

2022年07月20日

インドネシア中央統計庁(BPS)は7月1日、6月の消費者物価指数(CPI)の上昇率を前年同月比4.35%、前月比0.61%上昇と発表した(添付資料表、図参照)。食品の価格上昇が主要因で、20177月以降最も高い物価上昇率だった。

前年同月比のCPI上昇率は、11主要品目のうち、情報・通信・金融サービスのみが低下した。食品・飲料・たばこが8.26%と上昇率が最も高く、全体の上昇率を引き上げた。そのほか、輸送(5.45%)、家庭用機器・工具・定期メンテナンス(4.77%)、パーソナルケア・その他サービス(4.43%)の上昇率が高かった。

前月比でも、情報・通信・金融サービスのみが低下した。最も上昇率が高かったのは、食品・飲料・たばこ(1.77%)だった。唐辛子やエシャロットなどの生産地の降雨量過多による不作や流通の混乱に伴う価格上昇が要因とみられる。6月のコアCPI(注)上昇率は前年同月比2.63%、前月比0.19%だった。

インフレ構成項目別では、変動価格の項目によるインフレ率は前月比2.51%、前年同月比2桁上昇の10.07%上昇し、いずれも上昇幅が全項目で最大だった。特に、食品価格が前月比2.30%上昇し、6月のインフレ全体の0.44%と寄与度が最大だった。続いて、政府の公定価格が前月比0.27%、コアインフレが前月比0.19%上昇した。

地域別からみると、調査対象となっている90都市のうち85都市で上昇し、5都市で低下した。ジャカルタ首都特別州は前年同月比2.88%、前月比0.32%だった。

インドネシア経済改革センター(INDEF)のエコノミスト、アグス・ヘルタ・スマルト氏は、政府は2022年通年の物価上昇率を押し下げるために戦略を準備する必要があると述べた。その上で、欧州の地政学的要因に伴う小麦や原油などのコモディティー価格の変動に注意し、インフレ率に寄与度が高い品目についての食料安全保障のロードマップ作成などをするべきだと説明した。INDEFは、2022年通年の物価上昇率が6%に達すると予測している(「medcom.id74日)。

財務省財政政策庁(BKF)のフェブリオ・カチャリブ長官は、インドネシアの物価上昇率は米国などほかの国との比較で依然として緩やかだとし、政府は国家予算を投入することで人々の購買力と国家の経済回復の勢いを維持できると述べた。その上で、今後も物価上昇に影響を与える要因を監視し、特に価格が不安定な食品グループの価格上昇リスクを軽減し続けると述べた(「コンタン」73日)。

(注)消費者物価指数に含まれる全ての対象商品によって算出する総合指数から、価格変動が大きい食品とエネルギーを抜いて算出した数値。

(尾崎航、デシー・トリスナワティ)

(インドネシア)

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