財務省、ドゥテルテ前政権の税制改革を継続

(フィリピン)

マニラ発

2022年07月27日

フィリピンのベンジャミン・ディオクノ財務相は711日、ドゥテルテ前政権の政策である包括的税制改革(Comprehensive Tax Reform Program:CTRP)を継続して推進していく姿勢を明らかにした。財務省(DOF)は、CTRPの中で前政権で法案成立まで至らなかった税制改革第3弾(不動産価値評価方法の見直し)と同第4弾(受動的所得と金融仲介税の見直し)の法案可決を推し進めていく構えだ。

税制改革第3弾では、市場の実勢価格に基づく統一的な不動産価値の評価方法を導入することを目指している。フィリピンではこれまで、自治体や政府機関がそれぞれ異なる不動産価値の評価方法を用いてきた。DOFは、不動産価値の評価方法が統一されることで、不動産に関する課税や取引の際の透明性が高まるとしている。また、不動産価値の評価が市場の実勢価格に基づいて行われるため課税ベースが上昇することが見込まれ、政府・自治体の税収増も期待できるという。

税制改革第4弾では、フィリピンへの資本流入や資本市場の活性化を目的とし、利子や配当、キャピタルゲインといった受動的所得、金融仲介への課税を簡素化することを目指している。具体的には、これまで受動的所得に対して、現地通貨ペソ建て・外貨建て、資産の保有期間などに応じて、異なる税率を課していたが、改革によって15%の単一税率を導入することを企図している。また、株式と債券市場での取引仲介に対する税率の平準化と低減・撤廃を目指している。

(吉田暁彦、サントス・ガブリエル)

(フィリピン)

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