トルコのエルドアン大統領がイラン訪問、経済・エネルギーなど多分野の協力覚書締結

(イラン、トルコ)

テヘラン発

2022年07月25日

トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領は7月18日、「第7回アスタナ和平プロセスサミット」(注)出席のため、イランの首都テヘランを訪問(2022年7月22日記事参照)し、この機会に、アリー・ハーメネイー最高指導者やイブラーヒーム・ライーシー大統領らと会談した。

ハーメネイー最高指導者はエルドアン大統領との会談で、シリアの領土保全を維持することは非常に重要であり、シリア北部に対するいかなる軍事攻撃もトルコやシリア、地域全体に確実に害を及ぼすもので、テロリストの利益になるとした。また、イランとトルコ両国の交流と経済協力の質・量は、そのポテンシャルに比べるとはるかに少ないとし、この問題は両国大統領間の交渉で解決されるべきだと強調した。

エルドアン大統領はこれに対して、イランとトルコの連携の高まりを称賛するとともに、イランに対する国際社会の一方的な制裁については今後も常に反対するとしたほか、イラン核問題の包括的共同行動計画(JCPOA)でのイランの正当な要求を支持し、トルコ企業にイランへの投資を奨励すると述べた。また、シリアの領土保全に関するトルコの立場は明らかだと述べ、アスタナサミットでよい成果が得られることを期待しているとした(7月19日付最高指導者オフィス)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

19日にはイランとトルコ間の最高協力評議会の第7回会合が開催された。ライーシー大統領は両国関係について建設的かつ進歩的と評価し、両国は適切な政策立案と協力関係の発展を通じて、年間300億ドルの貿易取引という目標に向かって進む必要があると述べた。

同会合では、サイエンス・テクノロジー・パークの建設や、環境分野の協力、犯罪者の引き渡し、粉じん問題の解決、エネルギー・経済・スポーツ分野の協力拡大、銀行業務や投資取引の円滑化促進など、両国間の協力促進を強調した。両国は今回の機会に、通商・経済、文化、科学、スポーツ、エネルギー、農業などのさまざまな分野の協力拡大のための覚書(MoU)に署名した(7月19日付IRNA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

さらに、イラン側は、天然ガス輸出を通じて、トルコに持続可能なエネルギーを提供する準備ができていると表明し、トルコへのイラン産天然ガス輸出契約の25年間の延長と、ガス輸出量の増加が今後の議題となることで合意した(7月19日付IRNA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

エルドアン大統領は、協力評議会開催後の共同記者会見で、イランとトルコは最大限の連携でテロ組織と闘うべきだと述べた。また、新型コロナウイルスの世界的な流行が2国間貿易を縮小させたことにより、年間300億ドルという目標貿易額には到達できなかったとし、今後は強い決意をもって同目標の達成を目指すとした(7月19日付IRNA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(注)シリア情勢について協議するため、イランとロシア、トルコ3カ国のイニシアチブで開催された会議。201711月にカザフスタンのアスタナ(当時の名称)で初回会合を開催。

(鈴木隆之、マティン・バリネジャド)

(イラン、トルコ)

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