上海市、社会保険納付基準額を引き上げ、法定最低賃金は据え置く

(中国)

上海発

2022年07月07日

上海市人力資源・社会保障局は75日、2022年度(202271日~2023630日)の社会保険(養老、医療、失業、生育、労災)納付基準額を同局の公式ウィーチャットアカウントで公表した。納付基準の下限額は、前年度比9.1%増の月額6,520元(約13400円、1元=約20円)、上限額は10.2%増の月額34,188元に改定した。通常、下限額と上限額は上海市の前年度の従業員平均賃金(月額、2021年=11,396元)のそれぞれ6割と3倍の金額に設定しているが、新型コロナウイルスの影響を受けた企業の負担を軽減するため、下限額は低めに調整した。

個人の納付基準額は、本人の前年の実収入の月平均額となるが、月平均額が下限額を下回った場合は下限額、上限額を超えた場合は上限額がそれぞれの納付基準となる。会社側の納付基準額は個人の納付基準額の合計だ。社会保険負担額は、納付基準額にそれぞれ個人側と企業側の保険料率を掛けて算出される。例えば養老保険の場合、企業側(保険料率16%)の負担額は従業員1人当たり最低1,043元、最高5,470元となる。

また、上海市人力資源・社会保障局は629日、2022年度の法定最低賃金を調整しないと発表した。全日制就業労働者(正社員)に適用している月給2,590元の現行基準と、非全日制就業労働者(パートタイム、注)の最低時給23元の現行基準(2021年6月25日記事参照)をいずれも維持する。同局は新型コロナウイルスが上海の社会や経済に与える影響を踏まえ、企業側・労働者側と共同で決定したと説明した。なお、上海市は最低賃金上げを見送るが、全国31省・自治区・直轄市で最高額を維持する見通し(「網易」630日)。

(注)1日当たりの勤務時間は4時間以内、かつ1週間の勤務時間が累計24時間以内の労働者を指す。

(劉元森)

(中国)

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