米アマゾン、EV配達トラックの運用を開始

(米国)

シカゴ発

2022年07月29日

米国のオンラインストア最大手アマゾン(本社:ワシントン州シアトル市)は721日、新興電気自動車(EV)メーカーであるリビアン(本社:カリフォルニア州アーバイン市)が製造したEV配達トラックによる荷物の配達を全米の各都市で開始したと発表した。

今回、アマゾンがEV配達トラックの運用を開始した都市は、ボルチモア、シカゴ、ダラス、カンザスシティ、ナッシュビル、フェニックス、サンディエゴ、シアトル、セントルイスの主要都市。同社は2022年末までに100都市以上で数千台、2030年までに全米で10万台のEV配達トラックを導入する見込みで、実現すれば年間数百万トンの二酸化炭素(CO2)を削減することになるという。アマゾンはリビアンの株式を18%保有しており、今回のEV配達トラックの納入は、アマゾンがリビアンに対して行った13億ドル超の投資の一部としている。

量産前の車両で試験運転、最先端の技術を採用

今回の発表に際し、アマゾンはシカゴ市にあるラストマイル(注)配送センターでEV配達トラックを公開した。このトラックは、イリノイ州のノーマル市にあるリビアンの工場で製造されている。アマゾンはリビアンの量産前の車両で配達の試験運転を行い、2021年以降、43万個以上の荷物を届け、9万マイル(約144,841キロ)以上を走行したとのことだ。この試験走行を経て採用された最先端の技術には、視野360度の視認性や自動緊急ブレーキなど安全面での技術のほか、配送ワークフローと車載システムを完全に統合する技術、自動ロックシステムなどドライバーの操作性を重視した技術、軽量で低コストのバッテリーなどがある。また、発表によると、同車両は米国道路交通安全局(NHTSA)、カリフォルニア州大気資源局(CARB)、米国環境保護庁(EPA)の認証も取得している。

EV配達トラックの増産がリビアンの成長のカギに

リビアンは、他の自動車メーカーと同様に、半導体を含む部品不足のため、イリノイ州の工場での生産増強に苦戦しており、2022年第1四半期の納車台数はわずか1,227台だった。しかし、第2四半期には主力車種であるR1T(ピックアップトラック)の納入を大幅に増やし、現在、R1S〔スポーツ用多目的車(SUVEV配達トラックの生産を下半期に向けて強化している。今後2R1TR1Sに加え、アマゾンが2030年までに10万台の配達トラックを発注することで、リビアンの今後の成長の大きく助けると考えられている。同社は、ジョージア州でEV工場の建設を予定しており、同州の優遇措置も獲得している(2022年5月10日記事参照)。

(注)「ラストマイル」とは、物品またはサービスが物流の最終拠点から顧客へ届くまでの最後の区間を意味する。

(星野香織)

(米国)

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