USMCA発効から2周年、3カ国の担当閣僚がカナダ・バンクーバーで第2回会合開催

(カナダ、米国、メキシコ)

米州課

2022年07月12日

米国・メキシコ・カナダ協定(米国ではUSMCA、カナダではCUSMA、メキシコではT-MEC、以下、CUSMA)の202071日の発効から2周年を迎えた。カナダのメアリー・エング国際貿易・輸出振興・中小企業・経済開発相は78日、カナダ・バンクーバーに米国のキャサリン・タイ通商代表部(USTR)代表、メキシコのタチアナ・クルティエール経済相を招き、第2CUSMA自由貿易委員会通商閣僚会合を開いた。

3カ国の閣僚は共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの冒頭で「この協定は、堅固で包括的な北米経済をサポートし、競争力のグローバルモデルとして機能することで、前例のないレベルで3カ国の協力と貿易を達成することができた」とした上で、「協定は、労働者や十分に享受できていないコミュニティーの利益を優先するほか、貿易政策は広範で公平な成長を培い、革新を促進し、共有する環境を保護し、コミュニティーにプラスの影響を与えるべきというわれわれの共通の認識を反映している」と、協定発効による成果を示した。併せて「きょうの生産的な会合は、ロシアのウクライナ侵攻が世界の貿易システム全体に深刻な経済的影響をもたらした後、さらに重要なCUSMAの実施、活用、施行に向けた私たちの総力を結集した取り組みを示した」と述べている。

今回の会合では、特に農業貿易や農業バイオテクノロジー、貿易の円滑化、一時的入国、民間の商事紛争、衛生・植物検疫措置、貿易の技術的障壁、輸送サービス、国営企業および良好な規制慣行(GRP)の面で、CUSMA委員会と作業グループにより進行中の作業を検討し、継続的な関与が協定の完全な実施にとって重要であることを3カ国であらためて一致した。また、北米の競争力や中小企業、包括的貿易、労働、環境に関して幅広い議論を行い、現在までの取り組みの進捗を踏まえ、各分野で次回年次会合に向けた取り組みとして、一部の分野については追加の小委員会を設置するほか、作業グループによる調整を行うことを定めた。

また、3カ国は今回取り上げた分野の進捗状況を評価し、将来の関与の継続的な機会を特定するため、2022年末までに閣僚代理による会合を開催することで一致した。

ホスト国カナダのエング国際貿易相は、78日付で今回の第2回CUSMA会合と米国・メキシコとの2国間協議について声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表している。

タイUSTR代表との会談については、米国が太陽光発電製品に課している緊急輸入制限(セーフガード)措置をカナダに対しては停止することで2国間合意に達したこと(2022年7月12日記事参照)を歓迎し、CUSMAの下での規則に基づく貿易と紛争解決プロセスの重要性を強調する結果と述べている。また、エング国際貿易相は会談で、カナダの針葉樹製材に対する米国の不当な課税を含む主要課題のほか、サプライチェーンの強化、インド太平洋地域への関与、WTO改革推進などの協力分野について問題提起したという。

メキシコのクルティエール経済相との会談について、エング国際貿易相は、特に鉱業やエネルギー部門でメキシコの投資環境に対するカナダの懸念をあらためて表明したほか、メキシコのバイオテクノロジーへのアプローチに関するカナダの懸念を提起したという。エング国際貿易相は、カナダとメキシコの強固な関係とCUSMAの進展を強調し、協力と競争力を強化するための新たな討論の場(フォーラム)として、2国間のハイレベル経済対話の創設について協議したと述べている。

(高山さわ)

(カナダ、米国、メキシコ)

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