外国からの旅行者による外貨両替に優遇為替レート適用、中銀通達A7551

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年07月25日

アルゼンチン中央銀行は721日、中銀通達A7551PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公布し、非居住者の旅行者による外貨から現地通貨ペソへの両替時に適用する為替レートを優遇する措置を発表した。これにより、並行為替レートに近い為替レートでの両替が可能になる。

多くの旅行者は現在、市中の非合法の両替商でブルーレートと呼ばれる並行為替レートで外貨をペソに両替するケースが多い。公式為替レートとブルーレートの乖離幅が大きいためだ。722日現在、金融機関窓口の公式為替レート(小売りレート)1ドル128ペソに対して、ブルーレートは1ドル約340ペソとなっている。

今回に措置により、旅行者は中銀から外国為替取引の認可を受けた銀行や両替商の店頭で、1カ月当たり5,000ドル相当額を上限に、電子決済手段レート(MEPレート)と呼ばれる、ペソ建て国債をドル建てで売却する際に使用される為替レートで外貨をペソに両替することができるようになる。722日時点のMEPレートは1ドル約315ペソ。

今回の中銀の措置は、非公式市場に流れている外貨を公式市場に取り込むことで、外貨準備高の減少に歯止めをかけるのが狙いだが、これが機能するかどうかは未知数だ。

中銀は202110月に中銀通達A7384を公布し、外国からの旅行者がアルゼンチン国内の金融機関に旅行者向けの口座を開設すれば、MEPレートで外貨をペソに両替することを認めた。ところが、この制度は全く利用されず、旅行者は非公式市場での両替を続けた。

今後も外貨準備高の積み増しに向けたさまざまな規制緩和、あるいは規制強化が行われるとみられる。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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