米ニューヨーク市、サル痘感染者増加に伴い対策を強化

(米国)

ニューヨーク発

2022年07月28日

米国ニューヨーク市保健局は727日、同局のサル痘特設ページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて、同日までに市内で1,148人のサル痘感染が確認されていると発表した。前日の1,092人から56人の増加となった。同市は、感染者は急激に増えているため、報告されていないケースも含めると、実際の感染者数はそれ以上であるとしている。

ニューヨーク州では519日に、州内で1人目の感染者がニューヨーク市で確認された。その後、同市では623日から、2回の接種で接種完了とされる、18歳以上を対象としたサル痘ワクチン「JYNNEOS」の無料接種が、感染リスクが高いとされる同性愛者の男性らを対象に、チェルシー地区にある性病クリニックで開始された。

バイデン政権は628日に、ワクチン普及を核としたサル痘対策外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表している。714日には、連邦政府から同市に約14,500回分のワクチンが届き、接種施設も市内7カ所に拡大された。同市は715日には、ワクチン不足の中、より多くの高リスクの対象者に1回目の接種を受けさせることを優先するとし、十分なワクチン供給を受けるまでは、科学的実証に基づき、英国およびカナダと同様、当面1回目接種のみを実施していくと発表した。同市はその後、721日にも、連邦と州政府から追加のワクチン約2万6,000回分が支給されたと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、ワクチン接種施設も10カ所まで拡大されたが、2回目の接種に関しては727日現在もまだ予約を受け付けていない。

米国疾病予防管理センター(CDC)によると、サル痘の感染は、感染者に直接触れることや、感染者が使用した服やシーツなどに触れること、また、感染者との長時間の対面による接触でも、呼吸分泌物から感染するリスクがあるとしている。ニューヨーク市の719日時点の性別の統計では、当時の感染者639人中、女性は1人のみだったが、CDCによると、妊娠中の女性が感染した場合、胎盤から胎児に感染させる恐れがあるとしている。ニューヨーク市では、市保健局のサル痘ワクチン予約サイトで接種の予約を受け付けている。世界保健機関(WHO)がサル痘の感染拡大で緊急事態を宣言した723日、ホワイトハウス感染症対策ディレクターのラジ・パンジャビ氏は、政権は既に各種対策を講じているが、それだけでは不十分で、さらにステップアップした対策を行っていく必要があるとの声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表している。

(吉田奈津絵)

(米国)

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