GJ州が全長1,600キロの「沿岸高速回廊」を計画

(インド)

アーメダバード発

2022年07月07日

インドのグジャラート(GJ)州政府は、州南部のウマルガムから州西部カッチ地域のナラヤン・サロバールに至る、1,630キロに及ぶ「州沿岸高速回廊」の建設計画を提案していることを明らかにした。同計画案は、2021年10月13日にナレンドラ・モディ首相が発表した新政策「ピーエム・ガティ・シャクティ(PM GatiShakti:PMGS)」スキーム(注)の趣旨に沿い提案されたもの。同案は、GJ州の沿岸地域全体をカバーする高速道路で結ぶ経済回廊構想で、州の経済活動や観光産業の活性化に寄与するとされる(「タイムズ・オブ・インディア」紙6月28日)。

州政府は「統合物流および物流パーク政策2021」において、「GJ州は、1つの主要港と48の非主要港を持つ1,600キロの海岸線に恵まれ、5億1,400万トンを超える国内貨物の40%を取り扱っている。港湾主導の開発により、カッチや南グジャラートなどの地域は産業の中心地として組み込まれ、多くの雇用を生んでいる」と、物流が州経済に及ぼす重要性について指摘している。今回の沿岸高速回廊の総開発コストは約240億ルピー(約408億円、1ルピー=約1.7円)、3年以内に完了予定で、完成すればインド国内最長の沿岸高速道路網になる。また、州内の主要な工業地域や観光スポットは、全て本沿岸高速回廊と接続される想定で、大きな経済波及効果が見込まれている。さらに、高速道路に沿う一定の地域は「緩衝地帯」として、将来の工業団地や経済開発のために確保されるという。

既に州政府は、最初の300キロの区間について、沿岸規制区域(CRZ)や森林に適用される諸規制なども考慮に入れた詳細な計画を作成しており、バルサド、ナブサリ、スーラット、バルーチなどの各地区をカバーする同区間を割り当て済みとされる。

モディ首相が提唱するPMGSは、主要なインフラプロジェクトにおいて、省庁間の縦割りをなくし、官民の利害関係者が包括的な計画を行うための制度・仕組み、プラットフォームを整備するものだ。同コンセプトは、(1)包括性、(2)優先度、(3)最適化、(4)同期化、(5)分析性、(6)ダイナミズムの「6つの柱」に基づいている。そして、中央政府のポータルサイトを通じて、全省庁が相互のプロジェクトを可視化し、人、モノ、サービスの動きの最適化のために統合されたシームレスかつマルチモーダルな接続性を提供することで、複数の雇用機会の創出、物流コストの削減、サプライチェーンの改善、地域産品の国際競争力を高める。様々な産業クラスター、経済地域がカバーされており、全ての地域での接続性が向上することで、インド全体のビジネス競争力を高めることが狙いとされている。

(注)「首相によるスピードと力」の意味、国家マスタープランである大型インフラ投資計画。

(古川毅彦)

(インド)

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