大連ハイテクパークでメタバース向け製品の体験イベントを開催

(中国)

大連発

2022年07月05日

中国の大連ハイテクパーク(以下、ハイテクパーク)は6月28日、メタバース向け最新製品および応用技術の体験イベントを開催した。同イベントでは、ハイテクパーク内メタバース企業の事業活動とポテンシャルが紹介されたほか、大連理工大学AI研究所メタバース産業技術センターや産業連盟の設立、メタバースビルの使用開始が宣言された(「央广網」6月29日)。

大連夢想科技は、眼鏡の右レンズに電子スクリーンを組み込んだスマートアイウエアを紹介した。眼鏡を通して物をスキャンしてデータ収集を行い、着用者にレンズ上でデータや3次元の視覚効果を表示可能だ。東軟集団のデジタル人体解剖実験室は、VR(仮想現実)メガネを通して、まるで手術室にいるような感覚で、人体や内臓全てを視認し、病状を診断・確定することが可能だ。外科治療にとどまらず、医学研究に応用できる。

大連邁思信息技術の仮想デジタル工場プラットフォームは、工場の情報をコンピュータに「インストール」することで、生産の指示にとどまらず、生産プロセスのシミュレーションを行い、生産コストの抑制ができる。同製品は徐州重工、一汽大衆汽車(フォルクスワーゲンと第一汽車の合弁会社)などに広く採用されている(「大連高新技术产業園区宣伝中心」6月30日)。

2020年以降、中国ではデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を重要政策の1つと位置付けており、メタバースの開発はDX推進と高度に関連付けられるものだ。2022年に入り、多くの都市でメタバースの推進に取り組んでいる(「新浪VR」6月21日)。

大連ハイテクパークは、1991年3月に国務院が認可した国家ハイテク産業団地の1つで、IT企業やBPO産業が集積していることで知られている。メタバースの発展は、大連市のソフトウエア産業における量から質への転換を示す動きとして注目される。同パークでは「バーチャルでリアルを強化」を基本コンセプトとして、メタバースの活用により新事業創出の集積地を目指す。

(李莉)

(中国)

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