中国、補助金ではなく就業による収入増を促進
(中国)
北京発
2022年07月20日
中国政府は7月12日、「重点プロジェクトでの就業支援の強力な実施による現地住民の就業と収入増加促進に関する業務方案」(国弁函〔2022〕58号)を発表した(文書は7月5日付)。政府が投資する重点プロジェクトにおける農民工(注)や貧困層の就業を促進し、補助金ではなく、労働を通じた収入増加を目指すもの。労働者の能力向上や、地方の消費拡大にも効果があるとしている。
対象となる分野として、交通、水利、エネルギー、農業・農村関連、都市建設、生態・環境、災害復興の7つが挙げられている。これらのプロジェクトについて、建設だけでなく、関連のサービスや完成後の維持・管理なども対象となる。現地政府には、労働者の就業に当たっての訓練も求められる。
中国の雇用環境は、厳しい状況が続いている。2022年6月の都市部調査失業率は5.5%と前月より0.4ポイント低下したものの、前年同月と比べ0.5ポイント高くなっている。また、都市部への出稼ぎ者が多く含まれるとみられる、外来戸籍人口の都市部調査失業率は5.8%と、前月より0.8ポイント低下したが、前年同月よりは0.7ポイント高くなっている。
中国社会科学院の蔡昉首席専門家は「外来戸籍人口の都市部調査失業率は2月以降、全体平均を上回っている。農民工の失業率が都市部住民を上回ることはこれまでなかった。これは現在の雇用環境が厳しい状況にあることを意味している」と指摘した(「財経雑誌」7月17日)。
(注)農村から都市部への出稼ぎ労働者。
(河野円洋)
(中国)
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