製造業への貸し出し支援でサプライチェーン強化などを目指す

(中国)

北京発

2022年07月21日

中国銀行保険監督管理委員会は711日、「製造業の質の高い発展に向けた金融サービスのさらなる推進に関する通知」(銀保監弁発〔2022〕70号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した(文書は74日付)。

国有大型銀行などによる傾斜融資といった手段を通じ、製造業への中長期貸し出しの増加を図る。3月に開催された全国人民代表大会における政府活動報告(2022年3月8日記事参照)にある「製造業への中長期貸し出しの増加」という方針を受け、具体的内容を定めたもの。

対象は、ハイテク製造業(注1)や戦略的新興産業(注2)を重点とするほか、従来型産業による設備更新なども含む。また、製造業が行う貿易に対する金融サービスの提供や、自動車、家電などの企業の海外進出も支援する。雇用創出機能の高い企業や、サプライチェーンの核となる企業に対しても支援を強化する。

そのほか、信用状況は良好であるものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響により困難な状況にある企業に対し、むやみに返済期限前の債権回収、貸し出し決定後の貸し渋り、貸し出し停止を行わないよう求めた。

同時に、リスク管理も強化し、製造業企業の不良債権処理を進め「ゾンビ企業」(注3)の市場からの退出も奨励するとした。

浙江大学国際聯合商学院デジタル経済・金融イノベーション研究センターの盤和林・聯席主任は「製造業企業の安定した発展はサプライチェーンの流れをスムーズにする。サプライチェーンがスムーズであることは、消費の増加や輸出促進の前提条件だ」、と製造業支援の重要性を指摘した(「中国金融新聞網」712日)。

(注1)医薬品製造、航空・宇宙機器および設備製造、電子・通信設備製造、コンピュータ・オフィス設備製造、医療機器・測定器製造、情報化学品製造を指す。

(注2)次世代情報技術、ハイエンド設備製造、新素材、バイオ、新エネルギー自動車、新エネルギー、省エネ・環境保護、デジタルクリエーティブ、および関連サービス業。

(注3)収益性が低いなどの理由により、本来は市場から退出するべきにもかかわらず、銀行などの支援により生き延びている企業。

(河野円洋)

(中国)

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