習国家主席の武漢市視察、科学技術力の強化意向と新型コロナ対策の正当性を強調

(中国)

武漢発

2022年07月07日

中国の習近平国家主席は6月28日、王蒙徽湖北省委書記、王忠林湖北省長とともに、湖北省武漢市の企業や社区を視察した。

レーザー加工機メーカーの武漢華工激光工程(HGTECH)を訪問し、同社の半導体やパネルディスプレイ向けのレーザースマート設備製造現場やレーザー技術応用製品の展示スペースを視察。習国家主席は「光電子情報産業は幅広い用途を持つ戦略的なハイテク産業だ。中国の発展に伴い、キーやコアとなる技術のブレイクスルーは一刻の猶予もなく、課題解決型の取り組みを堅持し、科学技術力の強化と自立を実現させる必要がある」と指摘した。

「動態ゼロコロナ」政策の正当性を強調

習国家主席は続いて、東湖高新区左嶺街道智苑社区を訪問した。同社区は、新型コロナウイルスの感染拡大以降、職場復帰・操業再開と防疫措置を組み合わせた管理体制により、住民の生活と経済活動を正常化させていた。習国家主席は「2020年の武漢市での新型コロナ防衛戦の勝利以来、武漢市でも何度も集団感染が発生したが、スピーディな統制・管理により大規模感染には至らなかった。武漢市の感染対策は適切に行われており、その経験は総括しておく価値がある」と、武漢市の防疫措置を高く評価した。その上で、「共産党中央委員会によって決定された感染対策の方針、政策が正しく効果的だったことが証明された。(これらの方針、政策は)揺るぎなく順守されなければならない」と、政府の「動態(ダイナミック)ゼロコロナ」政策(注1)の正当性を強調した。

そのほか、「動態ゼロコロナ」政策について「われわれは人民、生命を最優先とし、外国からの輸入感染や、中国内での感染拡大を防ぐ。中国は人口が多いため、『集団免疫』や『成り行き任せ』では想像するに堪えないものになる。われわれが実施する『動態ゼロコロナ』政策は、中国共産党の『性質・趣旨(注2)』および中国の実情により党中央が決定している。一時的に経済発展に影響があろうとも、人民の生命と健康は損なわれてはならず、特に高齢者や子供を守らなければならない。最終的には、われわれの感染対策は最も経済的で効果が高いものだ」と、感染防止を最優先する考えを示した上で、「動態ゼロコロナ」政策の正当性を強調した。

一方で、感染対策と同時に、「経済の安定的かつ健全な発展を可能な限り促進する必要がある」とも述べた。

(注1)中国国内の「感染者の発生をゼロにする」ものではなく、感染者の能動的かつ迅速な発見を行い、感染者に対して速やかに疫学的調査、診断、隔離、治療を行い、コミュニティー(社区)で持続的に感染が広がることを防ぐという防疫戦略。

(注2)中国共産党の示す「性質」とは、「中国共産党は中国労働者階級の前衛であり、中国の全民族・人民の利益を忠実に代表し、中国社会主義実現の指導的核心である」こととしている。また、「趣旨」は、「人民のために誠心誠意尽くす」という理念を指す。

(楢橋広基)

(中国)

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