米FDA、薬剤師に新型コロナ経口治療薬の処方を許可

(米国)

シカゴ発

2022年07月13日

米国食品医薬品局(FDA)は7月6日、新型コロナウイルスの経口治療薬「パクスロビド(パキロビッド)」の緊急時使用許可(EUA)を改定し、同治療薬の安全な処方を確保するため、資格を有する薬剤師が一定の制限の下で対象患者に処方することを許可すると発表した。

同治療薬は症状が出てから5日以内に服用しなければならないため、新型コロナウイルス検査を実施している薬局で陽性の結果が出た場合、資格を有する薬剤師にパクスロビドの処方を許可することで、その場で患者を迅速に治療することが可能になる。検査から処方薬を受け取るまでの期間を短縮する今回の措置は、連邦政府が6月に開設した、検査から治療薬の処方までを一貫して行うプログラム(Test-to-Treat外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に続くものだ。

米国では、新型コロナウイルスの陽性反応が出た場合、患者は通常、医療機関を受診するか、検査と治療両方に対応できる施設を探すことが一般的だ。今回のFDAの決定により、従来は検査はできるが治療に対応していなかった薬局は今後、患者に治療を提供するかどうか、あるいはどのように提供するかを決定することができるようになる。

処方の可否判定する情報提供が必要

薬剤師からパクスロビドの処方を受けることが可能かどうかを確認したい患者は、薬剤師に以下の情報を提供する必要がある。

  1. 腎臓または肝臓に問題がないことを示す12カ月未満に実施した血液検査の結果を含む記録。
  2. パクスロビドとの相互作用(飲み合わせ)の可能性がある薬剤を確認できるようにするための、市販薬を含む服用中の全薬剤のリスト。

パクスロビドは、高齢者のほか、心臓病や肥満、がん、糖尿病などの健康上の問題があって、新型コロナウイルスに感染した場合に重症化しやすい患者を対象としている。一方、腎臓や肝臓に重度の問題がある患者は使用が推奨されていない。治療には1日2回、1回3錠を5日間服用する。

(タマラ・ラズベリー、星野香織)

(米国)

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