米イリノイ州知事、サル痘感染拡大に伴いワクチンの追加配分を要請

(米国)

シカゴ発

2022年07月25日

米国イリノイ州のJ.B.プリツカー州知事(民主党)は721日、米保健福祉省のザビエル・ベセラ長官に、米国で発生しているサル痘に関して、シカゴ市など感染者が多い地域へのワクチンの優先的な追加配分を要請した。米疾病予防管理センター(CDC)の発表によると、721日現在、米国で確認されているサル痘の感染者は約2,600人と増加しており、同州の感染者数は230人、うち約86%がシカゴ市に集中している。プリツカー知事からベセラ長官への書簡は、CDCのロシェル・ワレンスキー所長と準備・対応担当のドーン・オコネル次官補にも送られており、内容は同州が全米で3番目に患者数が多い州でありながら、シカゴと州全体ではワクチンが不足していることを説明している。

同州公衆衛生局(IDPH)のアマール・トカーズ長官代行は「イリノイ州ではこのウイルスのまん延を抑える努力をしているが、症例は着実に増加している」とし、「この病気に対する最善の防御は、効果的なワクチンを迅速に配布することだ。連邦政府には、最も危険にさらされている人々に迅速にワクチンを投与できるよう、プロセスの合理化とワクチン配送の強化に努力するよう強く要請する」と述べている。

プリツカー知事は今回、州全体から4,600人分のワクチンをシカゴ市に配布するよう指示したと発表している。既にシカゴ市は3,300本のワクチンを受け取っているが、シカゴ市公衆衛生局のアリソン・アーワディ委員長は、同市が連邦政府から追加で供給される15,400人分のワクチンを合わせても十分な供給量ではないと述べている。シカゴ市は限られた数量のワクチンを現在感染の可能性が最も高いLGBTQコミュニティーの男性に供給するため、彼らと直接接する機会の多い医療機関へ配布し、感染の拡大を防ごうとしている。

なお、イリノイ州は、サル痘感染が疑われる場合、医療機関を受診するまでは他の人と密接に接触するべきではなく、また、一般的にサル痘感染の恐れがある発疹を持つ人に近づくことや、肌と肌との接触は避けるべきだとしている。

(星野香織)

(米国)

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