安倍元首相の死去に、官民挙げて追悼

(カンボジア、日本)

プノンペン発

2022年07月15日

カンボジアでは、安倍晋三元首相が78日に銃撃されて死去したことに対し、官民を含めさまざまなかたちで追悼している。

フン・セン首相は8日、岸田文雄首相に宛てた書簡で哀悼の意を表し、2013年から安倍元首相が同首相と協力し、カンボジアと日本の2国間関係を戦略的なパートナーシップに発展させた功績をたたえた。また、同首相は翌9日には自身のフェイスブック(注)にボイスメッセージを発信し、カンボジアとの2国間関係だけでなく、メコン地域やASEANに対する安倍元首相の貢献に謝意を表明。カンボジア国民に対して、10日は喪に服し、全土でカンボジア国旗を半旗にするよう指示した。

同首相の指示を受けて9日、トン・コン観光相は通達を発出、全土で10日はカラオケやディスコ、ビアガーデンなどの営業停止、レストランでのアルコール提供を禁止した。

情報省は安倍氏死去を悼む歌を2曲作り、その動画をフェイスブックに投稿。外務省や法務省なども追悼のメッセージを投稿した。また、ノロドム・シハモニ国王は日本の天皇陛下に追悼レターを送った。

一般市民も弔意を示している。フン・セン首相が在カンボジア日本大使館に弔問し、自筆のメッセージを寄せたというフェイスブック投稿には、13日時点で88,000件の反応があり、7,000件を超えるコメントがついている。また、ジェトロ職員が利用したトゥクトゥク(三輪タクシー)のドライバーや飲食店のオーナーも、こちらが日本人と気づくと、哀悼の意を表する場面も見られた。

カンボジア政府関係者によると、外国要人の死去に伴って追悼メッセージを政府として送ることはあるが、これほどの対応は異例とのこと(ヒアリング日:713日)。国民が親日的で、また、安倍氏が良く知られていたことがうかがえる。

写真 7月11日、ASEANパラ競技連盟・東南アジアスポーツ連盟評議会開会式で、スピーチ前に黙とうするフン・セン首相(ソク・チェンダ・ソピア相提供

7月11日、ASEANパラ競技連盟・東南アジアスポーツ連盟評議会開会式で、スピーチ前に黙とうするフン・セン首相(ソク・チェンダ・ソピア相提供)

(注)カンボジアでは、政府の公式発表を含め、フェイスブックを利用した情報発信が一般的だ。フン・セン首相のアカウントは1,391万人(713日時点)にフォローされている。

(秋間かをる)

(カンボジア、日本)

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