米ジョージア州、現代EV工場に付与するインセンティブが州史上最大の18億ドルに

(米国)

アトランタ発

2022年07月29日

韓国の現代自動車グループは7月21日、米国ジョージア州に建設予定の電気自動車(EV)・バッテリー工場に関し、総額18億ドル相当に上るインセンティブを受けることで、同州政府および地元経済開発局(注1)と合意した。新工場は2025年上半期から本格稼働し、年間30万台を生産する計画。8,100人の雇用が予定されている(2022年5月23日記事参照)。投資額は55億4,000万ドルで、単体の投資としては同州史上最大となるプロジェクトが、過去最高額のインセンティブを引き出した。

今回明らかになったインセンティブは、複数の優遇措置からなるパッケージ。26年間にわたり総額4億7,220万ドル以上となる固定資産税の減免や新規雇用1人につき5年間にわたり年5,250ドルの税額控除(8,100人雇用の前提で総額2億1,200万ドル)のほか、高速道路のインターチェンジ新設を含む道路整備(2億ドル)などのインフラ整備も含まれている。また、ジョージア州の人材育成は、企業ごとにカスタマイズされた職業訓練プログラム「クイックスタート」で高い評価を受けているが、新工場専用のクイックスタート・トレーニングセンターの建設費(6,250万ドル)も計上されている。一方、現代自動車に対しては、55億4,500万ドルの投資と8,100人の雇用を2031年末までに達成し、それらを2048年まで維持することが課されている(注2)。

2021年12月にリビアン(2021年12月21日記事2022年5月10日記事参照)、2022年5月に現代自動車と、わずか半年の間にジョージア州にとって史上最大規模の投資プロジェクトの発表が続いたことについて、同州商務省のパット・ウィルソン長官は「EVへの移行に向けた先駆者としてのわれわれの地位を確固たるものにするだけでなく、州内の何千人もの人々が将来にわたり雇用の恩恵を受ける」と述べている。

(注1)サバンナ港湾・州間高速道路16号線コリドー共同開発局。

(注2)企業が約束した責任を履行できない場合のクローバック(clawback)条項も盛り込まれており、2032年から2048年までの間に投資額と雇用者数が目標値の8割を下回る年があれば、その分、優遇措置の減額もある。

(高橋卓也)

(米国)

ビジネス短信 6651107d933673b7