カナダ運輸省、中・大型ZEV向けの新しい補助金制度を発表
(カナダ)
トロント発
2022年07月20日
カナダのオマール・アルガブラ運輸相は7月11日、中型および大型ゼロエミッション車(ZEV)向けの補助金(iMHZEV)制度の新設を発表した。中・大型車を対象とした補助金制度は初めてで、2040年までに販売台数を100%ZEVにするという同国の目標を達成するために実施され、今後4年間で約5億5,000万カナダ・ドル(約589億円、Cドル、1Cドル=約107円)を投じて全国の企業やコミュニティーのZEV化を支援する。本制度では、電気自動車(EV)と従来の自動車の価格差の約50%に相当する購入補助金が支給され、適用条件は以下のとおりとなる。
- フォード製バン「e-Transit」、カルサン製小型バス「e-Jest」、ライオン・エレクトリック製職業用トラック「ライオン8」、ボルボ製トラクタートラック「VNRエレクトリック」などの商用・中型・大型ZEVの購入またはリース
- 申請対象者は州、準州、地方自治体、団体、企業
- 補助金は1台当たり最大20万Cドルで、州や準州の補助金制度との組み合わせが可能
カナダ政府は2019年5月、5万5,000Cドル未満の車を対象としたEV導入のための補助金制度を開始した。その後、2022年4月に補助金制度の対象をミニバン、小型ピックアップトラック、SUV(スポーツ用多目的車)など、カナダで人気のタイプの車種に拡充したが、中・大型車種を対象とした補助金制度はこれまでなかった。
カナダ運輸省によれば、本制度の運用により、2026年には年間最大20万トンの温室効果ガス(GHG)の排出削減が見込まれ、2030年には年間300万トンまで拡大すると予測されている。
発表を受けて、e-モビリティの推進機関であるエレクトリック・モビリティ・カナダのダニエル・ブレトン会長は「カナダの中・大型車業界にとって、これらの商用車カテゴリーでZEVに連邦政府の補助金が適用されるのは初めてことで、歴史的な日になった」と述べ、カナダの輸送部門でGHG排出量の3分の1以上を占める中・大型車向けの新制度を歓迎した。
(飯田洋子)
(カナダ)
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