新型コロナワクチン接種が米成人2,700万人の感染を予防、CDC研究者報告書
(米国)
米州課
2022年07月11日
米国医師会雑誌「JAMAネットワークオープン」は7月6日、米国疾病予防管理センター(CDC)とCDC予防接種・呼吸器疾患センター(NCIRD)の研究者がまとめた、同国での新型コロナウイルスワクチンの効果に関する報告書を公表した。
それによると、米国で新型コロナウイルスワクチン接種が開始した2020年12月から2021年9月までに接種により、18歳以上の接種者の中で2,700万人の感染、160万人の入院、23万5,000人(いずれも推定)の関連死を予防したという。これは、同時期に米国民がワクチンを接種しない場合に想定された状況と比べて、感染者を52%、入院患者を56%、死亡者を58%防いだとしている。
世代別にみると、18~49歳で1,370万人の感染、30万1,000人の入院、1万4,000人の死亡、50~64歳で810万人の感染、52万5,000人の入院、6万6,000人の死亡、65歳以上では460万人以上の感染、75万9,000人の入院、15万4,000人の死亡を防ぐことができたと推計している。つまり、感染に関しては18~49歳、入院と死亡に関しては65歳以上に対して最も大きな効果を発揮したことになる。
報告書は「これは、われわれが知る限り、米国におけるワクチン接種の影響を年齢別と、時系列、米国保健福祉省(HHS)の管轄地区別に推定した初めての研究の1つだ」と述べており、成果を強調している。他方、この研究は、ワクチン接種者の増加に伴うワクチン未接種者の感染や入院、死亡の減少などを考慮しておらず、その効果の一部を示したにすぎないとして、研究成果の限界も指摘している。
CDCによると、7月8日時点で米国の新型コロナウイルス感染者数は8,817万4,283人、死亡者数は101万5,568人となっている。ワクチン接種完了者(ブースター接種を除く)は人口の約67%に当たる2億2,245万5,652人で、そのうち47.9%が1回目のブースター接種を完了している。
(片岡一生)
(米国)
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