10月1日から植物由来製品に動物由来製品を示す名称の使用を規制

(フランス)

パリ発

2022年07月11日

フランス政府は6月29日付のデクレ(政令)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、フランス独自の規制として101日から植物由来の製品にステーキやソーセージ、ナゲットなど動物由来の製品名を使用することを原則禁止する。2020年6月10日付の農産物、食品の情報の透明性に関する法律第5外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「植物性タンパク質を含む食品の記述や販売、宣伝のために、動物由来の食品を示す名称を使用してはならない」と規定、「動物由来の製品名を使用する場合の植物性タンパク質の許容含有量についてはデクレで定める」としていた。

同デクレでは、伝統的に肉や魚に関連する分野で固有の用語を、本質的には比較できない動物界に属さない製品を示すために使用することはできないと説明。その上で、植物性含有率が低い製品については、例外的に従来どおり動物由来の製品名を使用することが可能とし、その許容含有量は、ひき肉調整品は7%、フランクフルトソーセージは3%、ナゲットは3.5%、オムレツや卵は0.1%などと規定した。

欧州経済領域(EEA、注)とトルコから輸入される製品は同規制の対象外とする。101日の施行日前に製造、ラベル表示が作成されている在庫品は20231231日まで販売が可能。違反する食品を販売もしくは無償配布した場合や、販売の申し出を行った場合、販売もしくは無償配布する目的で所持した場合、自然人は最大1,500ユーロ、法人は最大7,500ユーロの行政罰の対象となる。

74日付「レゼコー」紙によると、畜産・食肉の業界団体「INTERBEV」のジャン=フランソワ・ギラー会長は「消費者への情報の透明性と製品の保全に向けた不可欠なステップ」と評価、全ての農業団体に対し、「EUの他の国の製品にも禁止措置を適用拡大するためにEUに働きかけるよう」政府に求めている。

他方、植物性食品を専門に研究、情報提供を行う独立非営利団体の全国植物性食品観測所ONAV外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます630日、「欧州議会は、植物由来の代替品に動物性製品の名称を使用することを202210月から禁止する法案を否決した」「この政令はフランスを、欧州の政策に逆流する保守的な立場に置くものだ」として批判している。

写真 小麦と大豆を使ったナゲット、ステーキのビーガン食品(ジェトロ撮影)

小麦と大豆を使ったナゲット、ステーキのビーガン食品(ジェトロ撮影)

(注)EU27カ国とアイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインが加盟。

(奥山直子)

(フランス)

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