新型コロナウイルス陽性者への就職差別を取り締まりへ

(中国)

北京発

2022年07月19日

中国の国務院は713日、常務会議を開催し、就業安定のための政策強化について議論を行った。

就業安定に向けて、(1)企業に対する社会保険料の納付緩和、就業補助金などの支援継続、(2)スタートアップ企業や個人事業主に対する最大20万元(約400万円、1元=約20円)の起業ローン提供および政府による利息補助の継続、地方政府によるインキュベーション施設の家賃支援、(3)新卒者の就職支援政策の着実な実施、オフラインでの求人活動の再開、サービスアウトソーシング企業への就業支援、未就職の新卒者や就業者のいない家庭への支援、(4)新型コロナウイルス陽性からの回復者に対する就職差別の禁止、(5)地方政府が就業安定の責任を負い、確実に目標を達成すること、などを決定した。

特に(4)については、関係部門による監督を強化し、発見次第、厳格に処理するとした。新型コロナウイルス感染経験者に対する就職差別については、求人に当たって過去に陽性となったり、隔離経験があったりする応募者は一律で受け付けない企業がある、などと報じられている(「第一財経」712日)。711日の上海市の記者会見でも、陽性経験や隔離経験を理由に採用をしなかったり、労働契約を解除したりすることは認められないとしている。

中国の6月の失業率(都市部調査失業率)では、1624歳が19.3%と過去最高を更新しており、若年者の失業が特に大きな課題となっている。また、新規就業者数は6月単月では125万人と4月の121万人、5月の123万から微増にとどまり、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年の水準を下回っている。

(河野円洋)

(中国)

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