2022年第2四半期、米クリーン電力新規導入量が大幅減少

(米国)

ヒューストン発

2022年07月28日

アメリカン・クリーン・パワー協会(ACP)は726日、米国でのクリーン電力の新規導入量が2022年第2四半期(46月)に3,188メガワット(MW)と、前年同期比で55%減少したと発表した。クリーン電力のうち、太陽光発電の新規導入量は53%減、陸上風力発電は78%減だった。一方、蓄電池は13%増だった。

新規導入量減少の要因として、ACPのヘザー・ザイカル最高経営責任者(CEO)は「長期的な税制や関税・貿易規制、送電網の制約をめぐり連邦議会が行動を起こさず、また不透明感が高まっていることで、急速に開発が必要にもかかわらずクリーンエネルギー需要に負の影響を与える」と述べている。同氏は、業界はいつでも必要な投資の用意があるとしながらも「現在のビジネス、政策環境が新規導入の足を引っ張っている」と説明している。

ACPはそのほか、物価高、新型コロナウイルス感染拡大による物流の遅延、サプライチェーン問題、発電所の運営費の増加などを導入量減少の要因に挙げている。

2022年上半期合計でみても、新規導入量は9,795MWと、2021年上半期の13,000MW超の導入量から新規導入の減速が鮮明になっている。

現在、米国内で稼働中のクリーン電力量は、5,800万世帯の消費電力に相当する211.4ギガワット(GW)を超えている。内訳は、陸上風力発電が139.1GW65.9%)、太陽光発電が65.7GW31.1%)、蓄電池が6.5GW3.1%)、洋上風力発電が0.04GW0.02%)となっている。

クリーン電力の新規導入予定を州別にみると、1位がテキサス州(23.7GW)で、2位がカリフォルニア州(13.7GW)、3位がニューヨーク州(10.8GW)、4位がインディアナ州(7.1GW)、5位がバージニア州(6.5GW)の順となっている。

なお、ACPによると、2021年末以降、650万世帯の消費電力に相当する32.4GW以上のクリーン電力プロジェクトが遅延し、まだ商業運転に至っていない。これら遅延案件のうち、太陽光発電が最多の64%を占めるという。

(沖本憲司)

(米国)

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