アリアンテック、宮城県の世界初の無人化植物工場にLED照明納入

(シンガポール)

シンガポール発

2022年07月14日

シンガポールの植物工場向けソリューション開発会社のアリアンテックはこのほど、宮城県東松島市の葉物野菜の植物工場「東松山ファーム」(20226月稼働)に、LED照明を納入した。同工場は、東日本大震災で被災した宮城県東松島市の旧小学校を利用し、世界発の無人化を実現した葉物野菜の植物工場で注目を集めている。アリアンテックのエドウィン・オン最高経営責任者(CEO)は712日、ジェトロとのインタビューで、「今後、日本での植物工場の設置を含めた展開を一層拡大していきたい」と意欲を示した。

アリアンテックは、植物工場向けのLED照明や自動化設備を開発するほか、植物工場設置に関するコンサルテーションも提供する植物工場専門の技術会社だ。同社が独自に開発したLED照明は熱を発さないことから、植物工場内の温度を上げず、エアコン消費を抑える効果がある。また、同社の研究・開発の結果、レタス栽培のLED光エネルギー消費量は1キロ当たり2.8キロワット時(kWh)と、エネルギー効率も良いという。オンCEOによると、東松山ファームへのLED照明納入に当たっては、日本内外の照明器具の中から1年以上にわたるテストを経て採用が決まった。

同社は2001年に創業。もともとは電子関連製品の販売を手掛け、中国にプリント配線基板(PCB)のアセンブリー工場も保有していた。それが植物工場分野へと事業を転換したのは、2013年にパナソニック・ファクトリー・ソリューションズ・アジアパシフィックがシンガポールで立ち上げた植物工場(20147月稼働、現在は停止)に、LED照明や灌漑設備、制御設備を納入したのがきっかけだ。

アリアンテックは、日本には2019年に法人を設立。日本では岡山県の新見メンテックのブルベリーを生産する植物工場へのLED照明を納入したのを皮切りに、大林組が千葉県に保有する植物工場へもLED照明を納入。同社はこれまでに、シンガポールや日本で20カ所以上もの植物工場向けに、LED照明や自動化設備を納入している。シンガポールにおいては、地場農業テック会社のGKEアグリテックが2022年末に操業開始を予定している同国で初めて太陽光発電システムを導入した植物工場にも、LED照明や野菜栽培ユニット、制御システムを提供した。

写真 アリアンテック創業者でCEOのエドウィン・オン氏(アリアンテック提供)

アリアンテック創業者でCEOのエドウィン・オン氏(アリアンテック提供)

(本田智津絵)

(シンガポール)

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