3~5歳への新型コロナワクチン接種開始へ

(ブラジル、中国)

サンパウロ発

2022年07月28日

ブラジル保健省傘下の国家衛生監督庁(ANVISA)は713日、3歳から5歳までを対象とした新型コロナワクチン「コロナバック」の緊急使用を承認した。「コロナバック」は、中国のシノバック・バイオテックとサンパウロ州立のブタンタン研究所が提携して開発した(注1)。

719日に同省が公開したテクニカルノートでは、緊急使用の承認に至った背景として、3歳から5歳までへの「コロナバック」によるワクチン接種がブラジルよりも先行しているチリの研究結果(注2)から、同ワクチンによる新型コロナウイルスの発症予防効果は38.2%にとどまるが、入院予防効果が64.6%、重症化予防率(ICU入院)が69.0%と重症化予防に効果があることなどを踏まえたものと説明している。

サンパウロ州政府は720日、コロナバックを製造するブタンタン研究所が中国シノバックから新型コロナワクチンの医薬品有効成分(API)を8,000リットル調達し、1,000万回分のコロナバックを製造することを明らかにした。

ブタンタン研究所は71日、保健省から新たな新型コロナワクチン製造の発注がないことを理由に、一時的にコロナバックの生産をストップしたと発表していたが、この度、3歳から5歳までを対象とした新型コロナワクチン生産を行うため、生産活動を再開する。

この度のANVISAの決定を受け、在ブラジル進出日系企業の駐在員などが多く住むサンパウロ市では、720日から、3歳と4歳で特定の病気などを持つ子供から優先的に接種を開始した。

(注1)開発はシノバック・バイオテックが行い、ブタンタン研究所は、フェーズ3をブラジルで実施するなど協力した。

(注2)チリでオミクロン株の感染が拡大した期間(2021126日~2022226日)に同国の研究者が、2回のコロナバックを接種した約49万人の子供から得た情報の研究結果をまとめたもの。

(古木勇生)

(ブラジル、中国)

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