ベンチャーキャピタル(VC)投資額が拡大

(ブラジル)

サンパウロ発

2022年07月08日

ブラジル政府は615日、投資誘致イベント「ブラジル投資フォーラム(BIF2022)」(2022年6月6日記事参照)を開催し、「ラテンアメリカのベンチャーキャピタル・ハブとしてのブラジル」と題するパネルディスカッションの中で、ブラジルのベンチャーキャピタル(VC)の最新動向を紹介した。

ブラジル・プライベートエクイティ・ベンチャーキャピタル協会(ABVCAP)のピエロ・ミナルディ会長は、近年のブラジルのVC投資額が増加していると説明した上で、投資家から資金調達を行うことで企業の成長などが期待できると、その利点を説明した。また、ブラジルの投資運用会社バレテックのピーター・サイフェルト最高経営責任者(CEO)によると、ブラジルではVCのみならず、大企業が資金を拠出するコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の増加も著しいという(注)。同氏はまた、ビジネス界でもイノベーションに取り組むことがビジネスの存続に不可欠との意識が浸透しており、CVCを設立する大企業が増えたと説明した。

ラテンアメリカ・プライベートエクイティ&ベンチャーキャピタル協会(LAVCA)が2月に作成した年次評価(「LAVCA TRENDS IN TECH」)によると、2021年のブラジルへのベンチャーキャピタル投資額は、2020年の約24億ドルから約3.2倍の約76憶ドルとなった。また、米コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーが4月に発表した報告書(「Visão geral sobre Corporate Venture Capital no Brasil」)では、ブラジルのCVCの数は2015年以降、毎年平均30%以上増加しているという。ブラジルのCVCによる2015年の総投資額は約1億ドルだったが、2020年には約55,000万ドルにまで増加している。

ABVCAPのミナルディ会長はパネルディスカッションで、VC投資をさらに増やすには、ブラジル市場が(1)データアナリストなど専門家の育成、(2)倒産などビジネスに失敗しても速やかに再チャレンジできる環境づくり、(3)安定した規制の枠組みの3条件を今後満たしていく必要があると指摘した。

(注)ここでいう増加とは、ファンドの数を指しているとみられる。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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