自動車メーカー幹部、半導体生産支援に向けた迅速な資金提供を米議会に要請

(米国)

ニューヨーク発

2022年06月24日

トヨタやホンダ、ゼネラルモーターズ(GM)を含む主要自動車メーカーおよび部品メーカーなど26社の幹部は6月22日、米国議会に対して、国内の半導体生産能力とサプライチェーンの強化に向けた資金提供を迅速に進めるよう求める書簡PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を提出した。

これらの企業は、書簡の中で「自動車業界は現在、世界的な半導体サプライチェーンの生産能力の課題に起因する大幅な生産量の減少に直面している。多くの自動車メーカーが米国で生産停止やシフトのキャンセルを余儀なくされており、労働者や地域社会に深刻な影響を及ぼしている」と警鐘を鳴らした。さらに、「米国が、半導体サプライチェーンへの投資を呼び込む国際的な取り組みに後れを取れば、現在および将来にわたって、半導体に依存している、自動車を含む全ての経済分野で競争力を損なうことになる」とし、半導体産業に対する支援の枠組みであるCHIPS for America Act(2021年9月27日記事参照)で承認されたプログラムに全額資金を提供することや、米国製半導体促進法案(FABS法案)で提案されている投資税制優遇措置の制定などを求めた。なお、CHIPS for America Actによる支援に関しては、520億ドルの予算が「米国イノベーション・競争法案(USICA)」に盛り込まれており、現在議会で審議中だ。

米国調査会社のオートフォーキャスト・ソリューションズ(AFS)によると、半導体不足を理由とする北米における自動車の累積減産台数は、2022年1月から6月17日までの約半年間で78万台以上に上り、2022年末までに100万台以上に達すると予想されている。この数字は、2021年から改善しているものの、最近でも新型コロナウイルスの影響で中国の半導体工場が生産を停止するなど、半導体チップ不足の影響は続くとみられている(オートモーティブニュース6月19日)。また、コンサルティング会社のアリックスパートナーズも、半導体を含む部品の供給不足が自動車業界に及ぼす影響は、2024年まで続くとの予測を発表した。同社の自動車・産業部門の共同リーダーであるマーク・ウェイクフィールド氏は「状況は改善していると言いたいところだが、今後2年間は解決することはないだろう」と述べ、慎重な姿勢を示した(オートモーティブニュース6月22日)。

(大原典子)

(米国)

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