喫煙率削減目標達成に向け、英政府への提案公表

(英国)

ロンドン発

2022年06月10日

英国で6月9日、イングランドでの2030年までのスモークフリー(注)目標達成に向けた報告書が公表された外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。同報告書の中では、目標達成のために政府が行うべき15の対応が示された。

英国政府は2019年7月、2020~2030年の10年間の健康増進に向けた対策として、2030年までのスモークフリーに関する目標を発表していた。今回の報告書は、サジード・ジャビド保健・ソーシャルケア相がジェイブド・カーン氏(慈善団体バーナードスの前最高経営責任者)にとりまとめを依頼したもので、同目標達成に向け、特に若者の間での喫煙削減と、特に貧困な地域での禁煙支援の2つに資する政策や規制に関し、独立した立場で提案することを目的としている。

レビューでは、政府が特に取り組まなければならない重要な提案として以下の4点が挙げられている。

  • 禁煙に向けたサービスに限定した年間7,000万ポンド(約117億6,000万円、1ポンド=約168円)を含め、目標達成に資する政策に年間1億2,500万ポンドを追加で投入。政府のみでは難しい場合は、紙たばこ事業への課税や追加の法人税の導入などの措置を導入。
  • 紙たばこを購入可能な年齢を毎年1歳ずつ引き上げ(現在は18歳)。
  • 禁煙支援の効果的な手段として電子たばこ(VAPE)のプロモーションの受け入れ。
  • 国営医療サービス(NHS)による対応を改善。喫煙者があらゆる医療サービスを利用する際に、禁煙に向けたアドバイスや支援を実施。

そのほかにも、小売事業者への販売ライセンス付与やマスメディアを通じた禁煙キャンペーンなどが提案されている。

英国の喫煙率は欧州諸国の中でも低いとされている。英国家統計局(ONS)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、イングランドの18歳以上の喫煙率は2019年時点で13.9%となっている。一方、新型コロナウイルス感染拡大の状況下で、18歳から24歳の若者の間で喫煙率が上昇したとされている(英国政府の6月9日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

英国たばこ大手のインペリアル・ブランズは今回の報告書に関し、電子たばこ(VAPE)への注目を歓迎した、と報じられている(「ロイター」6月9日)。米国たばこ大手のフィリップモリスは2021年7月、英国政府に対して2030年以降の紙たばこの禁止を求めていた(「ガーディアン」紙2021年7月25日)。

(注)喫煙者を人口の5%以下にすること。

(山田恭之)

(英国)

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