2022年の成長率予測値を下方修正、新型コロナ感染拡大が影響

(台湾)

中国北アジア課

2022年06月08日

台湾の行政院主計総処は5月27日、2022年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率を前年同期比3.14%、2022年通年の成長率の予測値を3.91%と発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(いずれも速報ベース、添付資料参照)。

第1四半期の実質GDP成長率を需要項目別寄与度でみると、内需全体の寄与度は1.61ポイントだった。このうち固定資本形成の寄与度は1.46ポイントで、内需全体を牽引した。事業者による持続的な資本設備の導入拡大、グリーンエネルギー関連のインフラ設備の構築、運輸業者による輸送力向上などが寄与したとみられる。民間消費は、新型コロナウイルス感染に関わる防疫措置の緩和、当局による経済振興策が実施される一方、交通や娯楽分野が新型コロナ感染再拡大などの影響を受けたことから、0.18ポイントの微増にとどまった。

外需全体(純輸出)の寄与度は1.54ポイントだった。このうち輸出の寄与度は、新興技術応用商品の需要増、サプライチェーン分断の改善、商品価格の上昇により、5.67ポイントだった。輸入の寄与度は、輸出増に伴う需要増および国際原材料価格の持続的上昇などにより4.13ポイントとなった。

新型コロナを受け、成長率を下方修正

2022年通年の実質GDP成長率の予測値は3.91%と、2月発表時から0.51ポイント下方修正された。項目別にみると、民間消費の実質伸び率が3.10%と、2月発表時から2.00ポイント下方修正となった。4月の新型コロナ感染の再拡大が、小売りや飲食、旅行などの経済活動に影響を与えるほか、自動車供給の改善が見られないことや、株式市場の不況なども下押し要因となった。その一方で、域内の労働市場の改善、企業収益の増加、基本賃金の引き上げなどにより、伸び率はプラスを維持すると予測した。

民間投資は、域内半導体メーカーの継続的な設備投資、新型コロナ禍での世界的なサプライチェーン再編の加速化、台湾企業による台湾回帰投資の実行、洋上風力発電施設の建設などにより、4.64%(2月発表時から1.04ポイントの下方修正)と予測した。

対外貿易では、輸出の実質伸び率を5.85%と予測した(2月発表時から0.32ポイント下方修正)。新興技術の応用や企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)化加速により、最終製品への半導体の搭載量の増大、域内業者による先端技術製品生産能力の持続的な拡大が、電子部品などの輸出需要を維持すると見込んでいる。

(北野真瑞)

(台湾)

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