メルセデス、国内基幹工場に蓄電池センターを新設

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年06月14日

ドイツ自動車大手メルセデス・ベンツ・グループ傘下のメルセデス・ベンツは5月31日、シュツットガルト・ウンタートゥルクハイム工場に新設する蓄電池センターの起工式を行った外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。同工場は、ドイツ南部バーデン・ビュルテンベルク州に位置し1904年に操業を開始した、同社の基幹工場。起工式には、オラ・ケレニウス・メルセデス・ベンツ・グループ会長、バーデン・ビュルテンベルク州のビンフリート・クレッチマン州首相らが列席した。

新設する蓄電池センターの名称は「メルセデス・ベンツeキャンパス」。敷地面積は約3万平方メートルで、次世代の蓄電池・蓄電池セルを研究開発し、2023年からはセルの小規模生産も行う。2025年までには蓄電池の試験・測定施設なども設置される。同センターへの投資額は数億ユーロにのぼる。同社は2021年3月、ウンタートゥルクハイム工場を車両電動化に対応したものにすると発表しており(2021年3月23日記事参照)、今回の蓄電池センター設置も当時発表された計画の一部が具現化されたものだ。

メルセデス・ベンツ・グループは2021年7月、バッテリー式電気自動車(BEV)時代に向けた計画を発表した(2021年8月3日記事参照)。同社はその中で、市場動向によっては2030年までに全新車販売をBEVにする可能性も視野に準備を進めるとした。実際に、同社のBEVとプラグインハイブリッド車(PHEV)を合わせた2021年(当時の社名はダイムラー)の販売台数は、前年比69.3%増の22万7,458台と過去最高を記録した(2022年1月24日記事参照)。ウンタートゥルクハイム工場でこれまで生産されてきたのは、内燃機関用のエンジン、トランスミッション、車輪軸などが主で、BEV販売が伸びれば、これらの生産は減少する。今回の蓄電池センター設置は、工場の電動化への対応の一環となる。

同社は同時に、従業員の電動化対応も進めている。具体的には、従業員に対して、電動化とデジタル化への対応プログラムを実施。2020~2021年に、国内約4万2,000人の従業員に電動化に関する教育を実施した。ウンタートゥルクハイム工場の従業員数は約1万8,500人。同工場では、これまで生産部門に従事していた社員をデータ・スペシャリストに再教育するためのパイロットプロジェクトも開始するところだ。

(高塚一)

(ドイツ)

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