一定量の危険物質取り扱い工場に報告を義務づけ

(タイ)

バンコク発

2022年06月29日

タイ工業省工場局(DIW)は4月25日、危険な化学物質を年間1トン以上保管・使用する工場に対し、電子システム「産業プラントにおける化学物質安全管理のための情報システム」を通じて、該当する化学物質の情報や、保管方法、保管場所などの報告を義務付ける措置PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。10月23日に発効し、同日から運用を開始する。この措置は、2021年7月にバンコク近郊サムットプラカン県にあるミンディーケミカルで火災が発生し、20トン以上の化学物質が爆発、物的損害と環境汚染の両面で周辺住民に影響を与えたことを受け、産業プラントでの化学物質管理の新たな安全対策として、発表された。

報告の対象となる工場と、それぞれの2022年の報告期限は以下のとおり。

  1. DIW通知の添付リストに掲載されている24種の工場:2023年4月20日
  2. 工場法が定める第3種指定工場(注):2023年10月22日

2023年以降は翌年3月1日までに報告する必要がある。

上記に加え、第3種指定工場においては、化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)に準ずるタイ語のラベルおよび安全データシート(SDS)を通じて、労働者が安全に作業できるよう適切な情報を伝達することも義務付けており、うち単一物質を取り扱う工場は2023426日、混合物を取り扱う工場は2024426日までに実施して報告する必要がある。

DIWは、同措置の発効前に、産業プラントにおける化学物質管理の安全対策やシステムを通じた報告方法について、理解を促進するための研修を提供している。3月に第1回を実施したほか、6月30日にチョンブリー県で民間事業者向けにオンサイトでの研修外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、9月に3回目を開催予定だ(詳細未定)。研修では、工場運営者や工場安全管理担当者向けのオンラインチャネルを開設し、「工場における化学物質安全管理のための情報システム」の利用方法(ガイドラインPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))に関する研修等を実施する。なお、YouTube外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで同システムの使用方法も視聴可能となっている。

(注)タイ工場法(2019)では、工場を第一~三種指定工場に分類しており、それぞれ操業前の手続きなどが異なる。

(宮口莉央、ラウィワン・デーンエン)

(タイ)

ビジネス短信 af89b070e9363bb6