SDGs達成度、日本19位に低下

(世界)

国際経済課

2022年06月06日

国連の研究組織「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」は6月2日、持続可能な開発目標(SDGs)の17の目標に対する達成度合い(注)を国・地域別に示した「持続可能な開発レポート2022外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。

レポートは冒頭で、「平和、外交、国際協力は、世界が2030年およびその先へ向けてSDGsを推進するための基本条件である」とした。半面、現状のウクライナでの戦争や、その他の軍事紛争は深刻な人道的悲劇だと訴えた。加えて、戦争の危機は、貧困の悪化や食糧不安、エネルギーへのアクセスなどの面で、世界全体の繁栄と社会的成果に影響を与えると指摘。気候変動と生物多様性の危機がそれらの悪影響を増幅させると警告した。

こうした事情から、世界平均でのSDGs達成度は2年連続で前進せず、むしろ後退する結果となったことを報告した。

2022年のSDGs達成度ランキングを見ると、1位フィンランド、2位デンマーク、3位スウェーデンと北欧諸国が上位を占めている。その他の主要国・地域の順位はドイツ6位、英国11位、韓国27位、米国が41位、ブラジル53位、中国56位、インド121位などとなった。

日本は163カ国・地域のうち19位と、前年から1つランクを落とした。目標のうち「(目標4)質の高い教育をみんなに」「(目標9)産業と技術革新の基盤を作ろう」「(目標16)平和と公正をすべての人に」の項目で、達成済みと評価された。一方、「(目標5)ジェンダー平等を実現しよう」「(目標12)つくる責任、つかう責任」「(目標13)気候変動に具体的な対策を」「(目標14)海の豊かさを守ろう」「(目標15)陸の豊かさを守ろう」「(目標17)パートナーシップで目標を達成しよう」の6つの目標について、主要課題が残る(未達成)と評価された。

レポートを包括するコメントでは、「安全保障上の危機、パンデミック、気候変動など大きな課題に対応するために、国際的な協力関係とコミットメントがこれまで以上に求められている。(中略)2023年のSDGsサミットを前に、最貧国や最脆弱(ぜいじゃく)国を含むすべての国においてSDGsの進捗を加速させることが、復興計画における主要な優先事項であるべきだ」と総括している。

(注)「持続可能な開発レポート2022」に掲載されている「2022年のSDG指数総合点(SDG Index ranking and scores)」の順位。SDGsの17目標に関する各国の総合的なパフォーマンスについて、最高のアウトカムを100%とした場合に何%まで達成できているかを数値化し、順位付けしたもの。

(伊尾木智子)

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