米ロサンゼルス市長予備選、不動産投資家と現職下院議員が本選へ

(米国)

ロサンゼルス発

2022年06月09日

米国ロサンゼルス市長選挙の予備選挙が6月7日に実施され、地元主要メディアは、不動産投資家のリック・カルーソ氏(民主党)と連邦下院議員のカレン・バス氏(民主党)が11月8日の本選で争うことになったと報じている(注)。予備選挙には12人が立候補し、同市が直面しているホームレスや犯罪の多発といった問題が主な争点となった。

カルーソ氏は、高級ブティックやレストランが入居する複合ショッピングモール「グローブ」や「アメリカーナ・アット・ブランド」を所有するなど、投資家としてロサンゼルスで多くの不動産開発を手がけてきた。また、ロサンゼルス市警察委員会の委員長やロサンゼルス水道電力局の役員、南カリフォルニア大学の評議会議長などを歴任したほか、 ロサンゼルス市の環境改善に多額の寄付を行う慈善活動家としての一面もある。

バス氏は、カリフォルニア州第37選挙区選出の現職の連邦下院議員として、ロサンゼルス地区の代表を務める。カリフォルニア州議会議員として政治家のキャリアをスタートし、州議会では米国初の黒人女性の議長に選出された。連邦下院議員を6期務めるベテラン議員であり、2020年の大統領選では、バイデン大統領はバス氏を副大統領候補の1人として検討していたという。バス氏は連邦議会では黒人議員連盟の議長を務め、2020年5月以降の「ブラック・ライブズ・マター(BLM)」運動で不当な黒人逮捕の阻止を目的とした「警察予算の削減運動(Defund the Police)」に積極的に反対の姿勢を示し、治安の改善に初期から関与してきた。

カリフォルニア大学バークレー校が3月29日~4月5日に実施した世論調査では、カルーソ氏が24%、バス氏が23%の支持を得ており、今回の予備選挙はこうした結果を反映したものとなった。予備選の結果でも両者の得票数は拮抗(きっこう)しており、本選でも接戦が予想される。

(注)ロサンゼルス郡選挙管理当局の6月8日午前2時7分(米国太平洋時間)時点の報告によると、得票率はカルーソ氏が42.1%、バス氏が37.0%。

(サチエ・ヴァメーレン)

(米国)

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