ボルソナーロ・ブラジル大統領、バイデン米大統領と初の首脳会談

(ブラジル、米国)

サンパウロ発

2022年06月14日

ブラジルのジャイール・ボルソナーロ大統領は6月9日、訪米先のロサンゼルスで、ジョー・バイデン米国大統領と首脳会合を行った。バイデン大統領の就任後初となる両国の首脳会合だった。ボルソナーロ大統領は、米国と中南米諸国の首脳らが参加する第9回米州首脳会議出席のため、6月8日から13日まで米国を訪問していた。

米国ホワイトハウスの9日付プレスリリースによると、両首脳は世界の民主主義大国である米国とブラジル2国間の戦略的重要性を再確認した。また、バイデン大統領はブラジルのOECD加盟に向けた支援を含め、貿易と商業に関する協力を継続していくと約束した。両首脳は、アマゾン地域の森林伐採を削減するための持続可能な開発や、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に関して国連安全保障理事会で緊密に連携すること、両国間の今後の協力について議論した。

バイデン大統領は、ブラジルには民主主義に基づく確立した選挙制度があることに触れつつ、両国は共通の価値観を保有するとコメントした。また、アマゾン森林保護に関するボルソナーロ大統領の努力を認めつつ、これは国際的な責務でもあり、諸外国からの金銭的支援も行われるべきだと述べた。

ボルソナーロ大統領は、米国とは自由や民主主義など共通の価値観を有していると述べた。また、生物多様性や、鉱物資源、水資源、酸素発生源などに恵まれるアマゾン森林地域を保護するためにブラジルは最善を尽くしていると説明した。将来的には、グリーン水素の輸出も含めた再生可能エネルギー大国となれる可能性に触れたほか、ウクライナでの戦争については遺憾の意を表すとともに、主権国家の重要性にも言及した。また、ブラジルは食糧やエネルギー資源の供給国として最も重要な国の1つだと強調した。さらに、大統領自身が立候補する予定の2022年10月の大統領選挙にも触れ、ブラジルの民主的な選挙による結果を受け入れると述べた。このほか、ブラジル外務省の6月10日付プレスリリースによると、両国はとりわけ難民の保護に関わる人道的な分野についても協力していくという。

6月10日付現地紙「バロール」は、ブラジルのカルロス・フランサ外相は「期待を上回る首脳会談だった。グローバルプレーヤーとしてのブラジルの役割を強調した」と評価した。一方、6月9日付現地「CNNブラジル」や同日付「グローボニュース」は、首脳会談のみでは具体的な2国間協力の深化は見通しづらいと報じている。 

(宮本敏央、古木勇生)

(ブラジル、米国)

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