GJ州政府、タタ、フォードがサナンド工場買収を巡り最終合意

(インド)

アーメダバード発

2022年06月08日

タタ・モーターズの子会社、タタ・パッセンジャー・エレクトリック・モビリティー・リミテッド〔Tata Passenger Electric Mobility Limited(TPEML)〕とフォード・インディア(FIPL)は5月30日、グジャラート(GJ)州政府との間で、FIPLのサナンド工場の買収事業の最終契約に向けたMOU(覚書)を締結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今後数週間のうちにTPEMLとFIPLの間で最終的な契約が締結される予定。

同MOUは、FIPLのサナンド工場〔(1)土地・建物(2)車両製造工場・機械設備(3)FIPLの対象従業員の異動(2021年9月24日記事参照)〕をTPEMLが買収するための最終契約と、それに伴う諸許可を前提に締結されたもの。5月29日の時点で州政府は両社から提出されていた買収申請案を了承していたとされ(「タイムズ・オブ・インディア」紙5月29日)、タタ・モーターズは州政府がFIPLに与えていたインセンティブを引き継ぐことが可能になった。また、FIPLは、TPEMLからパワートレイン部門の土地・建物をリースバックすることで、パワートレイン製造事業を継続する。

プレス発表によると、タタ・モーターズの乗用車(PV)・電気自動車(EV)は、過去2年間、「ニュー・フォ-エバー(New Forever)」シリーズの製品群で好調な成長を遂げている。そして、この趨勢は将来投入されるモデルやEVへの積極的な投資によって継続するものと予想されるため、今後、タタ・モーターズはPV/EVの生産能力を増強していく方針だとしている。

フォード・インディアのサナンド工場には既に最先端の設備が整っており、TPEMLは今後数カ月をかけて新たに必要な設備投資を行い、年間30万台規模の生産能力を確立した上で、さらに40万台以上への拡張も視野に入れている。また、同工場はTPEMLの既存工場に隣接しているため、スムーズな移行ができるものと期待されており、同拠点は今後タタ・モーターズがPV/EVの生産能力強化を加速させるのに貢献するものと期待されている。

州工業・鉱業省ラジブ・グプタ次官は、「この買収事案は関係者のすべてがウィンウィンとなるもの。グジャラート州が先進的で国内トップの投資先であることを証明し、同州を国内有数の自動車ハブとする方針を強化するという決意を示すもの。国際的な投資家の信頼を高め、モディ首相が掲げる「自立したインド」に貢献するものだ」としている。

一方、シャイレッシュ・チャンドラTPEML社長は、「タタ・モーターズは、GJ州で既に10年以上の存在感があり、今回のMOUは雇用とビジネス機会を創出することで、同州への強いコミットメントを示すものだ。そして、近年で数倍の成長を遂げているPVやEVの生産能力の一層の拡大を支援し、将来の成長を強化することを担保するものだ」と述べている。

(古川毅彦)

(インド)

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