ブラジルの第1四半期GDP成長率は前年同期比1.7%、サービス業や輸出が牽引

(ブラジル)

サンパウロ発

2022年06月08日

ブラジル地理統計院(IBGE)は6月2日、2022年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率を発表した。前年同期比で1.7%、前期比(季節調整済み)で1.0%だった。

前年同期比を産業別にみると、農畜産業が8%減、工業が1.5%減、サービス業が3.7%増だった(添付資料表参照)。サービス業が好調だった理由として、レベッカ・パリス国民経済計算コーディネーターは、新型コロナ感染拡大により需要が落ち込んでいた宿泊業や飲食業などを含む「その他のサービス」(12.6%増)が牽引したほか、「運輸・倉庫・郵便」(9.4%増)も、Eコマースの利用者数の増加や旅行などでの航空機の利用増が押し上げ要因となった」と分析した(6月2日付IBGEプレスリリース)。

農畜産業が落ち込んだ要因についてIBGEは、ブラジル南部での降雨量不足が、第1四半期の大豆やコメの収穫に影響を与えた、と説明した。工業では、鉄鉱石の生産量が大幅に減少し、鉱業が落ち込んだことが、押し下げ要因となった。ブラジル資源大手ヴァーレが公開している2022年第1四半期の「生産レポート」によれば、生産量の減少には、1月の南東部での降雨が、ミナスジェライス州のシステムオペレーションを一時的に停止したこと、3月の集中的な降雨が鉄鉱石を輸送するカラジャス鉄道の稼働を4日間停止させたことなどが影響した。

需要要素別にみると、財・サービス輸出が前年同期比8.1%増加した。IBGEは、農畜産関連製品、食品、石油派生品、バイオ燃料、金属製品などの分野での輸出が好調だった、と説明した(6月2日付IBGEプレスリリース)。6月3日付現地紙「バロール」によれば、マクロ経済分析などを行うブラジルのコンサルティング会社マクロセクターのファビオ・シルベイラ氏は「世界経済が減速する中でも、ブラジルの輸出は、世界的なコモディティ価格上昇の恩恵を受けている」と説明している。

(古木勇生)

(ブラジル)

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