第1四半期のGDP成長率は前期比0.2%、景況感は改善するも先行き警戒感続く

(ドイツ)

ベルリン発

2022年06月01日

ドイツ連邦統計局は5月25日、2022年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(前期比、確定値、季節調整済み)を0.2%と発表した。前年同期比では3.8%となったが、新型コロナウイルス危機直前の2019年第4半期(10~12月)と比較すると、0.9ポイント下回る水準にある。

ゲオルク・ティール連邦統計局長は「ウクライナ戦争と継続する新型コロナウイルスの影響は、サプライチェーンの混乱や価格上昇など既存のゆがみをさらに強めた。こうした厳しい世界経済情勢にもかかわらず、ドイツ経済は2022年をわずかながらもプラス成長でスタートさせた」と言及した。

需要項目別の内訳をみると(添付資料表参照)、個人消費支出は前期とほぼ同水準の前期比マイナス0.1%となった。建設投資は価格上昇にもかかわらず天候に恵まれたことから、前期のマイナス1.0%から4.6%と大きく伸びた。機械設備投資も前期の0.7%から2.5%に拡大。建設投資と機械設備投資の伸びに支えられて、総固定資本形成は0.0%から2.7%へと回復した。輸出入は、輸入が伸びた(0.9%)一方、輸出はマイナス2.1%となり、外需(純輸出)はGDP成長率をマイナス1.4ポイント押し下げた。

産業別でみると、製造業は中間材の価格上昇と供給不足、さらに、ウクライナ戦争の影響を受け、前期の1.1%からマイナス0.4%に落ち込んだ。一方で、新型コロナの行動制限措置の緩和に伴い、娯楽やレクリエーションを含むその他サービス部門の伸びが最も大きく6.2%となった。

現時点で景気後退の兆候はなし

ifo経済研究所が5月23日に発表した5月のドイツ企業景況感指数(2015年=100)は、93.0と前月比1.1ポイント増となり、2カ月連続で改善した。一方で、今後6カ月の見通しを示す期待指数は86.9と0.1ポイント増にとどまり、企業は先行きに懐疑的な見方を示した。同研究所のクレメンス・フエスト所長は「ドイツ経済はインフレ懸念、部材逼迫、ウクライナ戦争に直面しているが、回復力を見せている。現時点では、景気後退の兆候は見られない」と述べた。

(中村容子)

(ドイツ)

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