5月の生産活動は好調、中国との貿易停滞には懸念も

(ベトナム)

ハノイ発

2022年06月10日

5月のベトナムの生産活動は伸びを見せた。中国の新型コロナウイルス対策のロックダウンによるサプライチェーンの乱れや、ウクライナ危機に起因する原材料価格高騰の影響が懸念される中、ベトナムの製造業購買担当者景気指数(PMI、注1)と鉱工業生産指数(IIP、注2)は、前月と比べて上昇した(添付資料図参照)。

米国の調査会社S&Pグローバルが発表したベトナムの5月のPMIは、前月の51.7から3.0ポイント上昇し、54.7だった。景況感の良し悪しの分け目となる50を8カ月連続で上回り、ベトナム政府がウィズコロナの方針にかじを切った2021年10月以降、製造業は上向きな傾向が続いている。

ベトナム統計総局が発表した5月のIIPは176.2だった。前月比は4.0%上昇、前年同月比は10.4%上昇した。前月比は3カ月連続、前年同月比は8カ月連続で上昇している。業種別にみると、主要な輸出製品であるアパレル製品(前月比:4.4%上昇、前年同期比:26.8%上昇)、履物(7.4%上昇、17.9%上昇)は前年よりも大幅に伸びている。国内向けの自動車(13.0%上昇、12.5%上昇)も生産を増やしている。電子部品(0.1%低下、17.1%上昇)、通信機器(7.7%低下、17.6%上昇)は前年よりも伸びているが、5月の生産は前月を下回った。

増産への課題は残る

ベトナムでは、新型コロナウイルス新規感染者数が1日当たり1,000人を下回っており、感染対策に伴う懸念は払拭(ふっしょく)されつつある。一方、中国でのゼロコロナ政策に伴う輸出入の停滞が懸念される。中国はベトナムにとって最大の輸入先であり、第2位の輸出先だ。ベトナム税関総局によると、2022年1~4月の対中国輸出は179億ドル(前年同期比10.0%増)、輸入は381億ドル(12.2%増)と伸びているが、その伸び率は前年を下回っている(注3)。4月から5月にかけては中国のロックダウンを受け、中国からベトナムへの部材納品の遅れも発生している状況だ。これは電子部品や通信機器の5月のIIPが前月より落ち込んだ要因としても推察される。

また、ベトナムの製造業は輸出入への依存が大きく、燃料や原材料の国際的な価格高騰の影響を受けやすい。そのため、生産コスト上昇への対応が重荷となっている。

(注1)製造業購買担当者景気指数は、製造業の購買責任者を対象に、生産高や新規受注、在庫水準、雇用状況、価格などの状況を評価する指数。0から100の間で変動し、50を超えると「前月比で改善や増加」、50未満は「前月比で悪化や減少」を表す。IHSマークイットが実施していた調査を同社と合併したS&Pグローバルが引き継いでいる。

(注2)鉱工業生産指数は、鉱工業の生産を評価する指数で、2015年の生産量を基準(100)に算出する。

(注3)2021年の対中国の輸出は前年比14.5%増、輸入は30.5%増だった。

(庄浩充)

(ベトナム)

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