萩原工業、「ブラジル・プラスワン」でパラグアイに進出

(パラグアイ、メルコスール、日本)

ブエノスアイレス発

2022年06月28日

合成樹脂繊維大手の萩原工業(本社:岡山県倉敷市)は6月13日、パラグアイ東部でブラジルと国境を接するシウダード・デル・エステ市に製造拠点を新設すると発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。現地法人の設立時期は2022年8月の予定で、同社の主力製品であるコンクリート補強繊維(バルチップ)を生産する。稼働開始は2023年1月を予定している。当初はブラジル向けに製品を供給し、将来的には周辺国へも販路を拡大する方針だ。

同社によると、コンクリート補強繊維への需要がブラジルで爆発的に増えているという。その使途は、従来はトンネル内部のコンクリートなどが中心だったが、ひび割れが少ないことが評価され、ショッピングモールの床、工場の土間や床に使われている。

パラグアイにはオペレーションコストの低さから、労働集約的な製造業を中心に多くのブラジル企業が「ブラジル・コスト」を避けるために進出している。いわゆる「ブラジル・プラスワン」の動きだ。日系企業でも、2011年に操業を開始したフジクラを皮切りに、矢崎総業、住友電装が進出し、ブラジルを主な仕向け地としてワイヤーハーネスを製造している。

ブラジルと国境を接する地理的優位性や、若く豊富な労働力、世界最大規模の発電量を有するイタイプ水力発電所から供給される安価でクリーンなエネルギーを活用できるのが同国の魅力だ。萩原工業も、製造拠点で使用する電力の全量を再生可能エネルギー由来にするとしている。

パラグアイは農牧業を中心に経済成長してきた国で、製造業の発展の歴史は浅いことから課題はあるが、メルコスールのフロンティアとして伸びしろは大きい。

(西澤裕介)

(パラグアイ、メルコスール、日本)

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