アランヤプラテート税関の現況、通関渋滞解消の取り組みなど

(タイ、カンボジア)

バンコク発

2022年06月09日

ジェトロは5月31日、タイのサケオ県アランヤプラテート郡のカンボジア国境付近に位置するアランヤプラテート税関を視察した。同税関の現況や取り組みなどについて報告する。

アランヤプラテートは、バンコクから約260キロ、レムチャバン港から約250キロ離れている。なかでも、同税関はタイとカンボジアの国境付近に位置し、職員総数71人で業務を遂行する。主な業務は、(1)輸出入関連の手続き、(2)関税の適切な徴収および荷物のリリース、(3)国境関連商流の拡大、(4)違法薬物や税金未払いなどの取り締まり、(5)保税倉庫、フリーゾーンなどでの輸出入管理、などの業務を担う。

税関担当者からヒアリングした内容は以下のとおり。

当税関の検査体制だが、事務所から約1キロ離れた場所に69ライ(1ライ=1,600平方メートル)の検査場がある。輸出の場合、同検査場で荷物の詳細を検査し、その後、当事務所で書類などの簡単なチェックを実施する、といった2段階の検査を実施している。タイとカンボジアの間で、列車はそのまま国境を越えて運行が可能だ。しかし、両国間の取決めにより、国境にて一度列車から荷物を降ろし、通関した上で、積み戻す必要がある。

当税関が管轄する対カンボジアとの輸出入の状況については、輸入に対する輸出の金額がおよそ3.5倍から4倍と輸出金額の方が圧倒的に多い。直近では、輸出入の金額ともに新型コロナウイルス感染拡大前である2019年の水準に戻ってきている印象だ。輸出の上位5品目は、自動車、牛乳などの非炭酸飲料、バイク部品、トラクター、バイクのエンジン。対して、輸入の上位5品目は、キャッサバ、アルミスクラップ、モーター部品、銅のスクラップ、眼鏡レンズ。

通関手続きにおけるトラックの渋滞が企業の懸案事項であることは承知している。当税関における渋滞解消の取り組みとして、現在の税関の近くに新たなチェックポイントを建設中。2億8,000万バーツ(約10億6,400万円、1バーツ=約3.8円)のプロジェクト予算も獲得しており、現在工事が進行中だ。新型コロナウイルス感染の影響からワーカー不足に直面しているものの、2023年初頭頃には稼働させたい。無論、カンボジアとも合意形成を得ており、両者ともに開通に向けた作業を進めている。

当税関は簡単で迅速な手続きを目標に各処理を進めている。現在、新型コロナウイルス感染の影響で、ドライバーの健康確認などを丁寧に行っているなど通関手続きに時間を要しているが、新型コロナウイルス感染が収束すればそれもなくなり、迅速な対応が可能となるはずだ。

(岡本泰、ナオルンロート・ジラッパパー)

(タイ、カンボジア)

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