鉄鋼製品に関する貿易救済措置のレビューを開始

(英国、ロシア、ウクライナ、ブラジル、イラン、インド)

ロンドン発

2022年06月29日

英国貿易救済庁(TRA)は6月24日、ロシア、ウクライナ、ブラジル、イランから輸入される熱間圧延平鋼、コイル鋼(対象製品外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に対するアンチダンピング(AD)措置に関する移行レビュー(注)を同日開始したことを発表。外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますTRAによれば、これらは主に機械系、電気系エンジニアリングや建設、自動車業界などで使用される。

ただし、ウクライナについては、ロシアによる侵攻なども踏まえ、本措置の適用一時停止に向けた調査も開始することも同時に発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。調査では市況の変化が一時的であるか、AD措置の適用停止によって英国産業が損害を再び受け得るかのほか、一時停止措置の適切な期間などにつき調査を行うとしている。TRAは現時点で、最長9カ月間の一時停止措置を検討している。ともに7月11日まで、関係者からの意見を募集するとしている。

また、インドから輸入されるステンレス棒鋼・線材(対象製品外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に対する補助金相殺措置についても、移行レビューを開始した。TRAによれば、これらは自動車、航空、食品加工など幅広い業界で使用されている。本レビューについては、7月6日まで関係者からの意見を募集するとしている。

TRAは6月23日、英国の鉄鋼セーフガード措置に関する調査結果報告書を発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。同報告書は、アン・マリー・トレビリアン国際通商相の指示に基づき、TRAが3月22日から実施していた同措置に関する分析結果をまとめたもの。同報告書では、経済的利益テストを満たす可能性のある全ての製品カテゴリについて、関税割当を拡大すべきとする同相の考えを支持するとし、現在措置が適用されている製品カテゴリごとの関税割当が提案された。またTRAは、開発途上国からの鉄鋼関税割当に関する見直しについての中間報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも発表。一部の国からの輸入がセーフガード措置の対象となる閾値(英国の当該製品の全輸入に占める割合が3%)を上回っているとし、ベトナム、インド、トルコ、サウジアラビア、中国、ウクライナから鉄鋼製品を輸入している企業が影響を受ける可能性があるとした。同見直しについては、関係者からの意見募集が6月29日まで行われており、その後、最終提案が国際通商相に対して行われる。

(注)現行措置が英国市場に適しているかを評価し、措置の変更、修正、終了などを検討する。

(山田恭之)

(英国、ロシア、ウクライナ、ブラジル、イラン、インド)

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