米船級協会ABSとスペースX、ロケット回収船の遠隔操作機能評価の共同開発で合意

(米国)

ヒューストン発

2022年06月16日

米国の船級協会であるアメリカン・ビューロー・オブ・シッピング(本社:テキサス州スプリング、以下ABS)は6月15日、スペースX(本社:カリフォルニア州ホーソン)との間で、洋上でロケットを回収する自律型ドローンシップ(以下、回収船)の遠隔操作機能を評価するために共同開発プロジェクトを実施する契約を締結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

この回収船は、ロケットの回収面積を大きくするためのデッキを拡張するほか、機動的な動力の推進と定点保持を実現するエンジンを搭載するなどの工夫が施されている。回収船は、ロケットの着水時には完全に無人で、船上に配備されたロボットを用いて、ロケットを回収船に固定する。

本プロジェクトでは、スペースXが所有する回収船3隻のうち1隻について、ABSが定める「自律・遠隔制御機能に関するガイドPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」に適合するかどうかを確認する。前例のないかたちで運用するため、仕様は定めずにリスクベースの審査、つまり、その機能にどの程度のリスクがあるのかを審査するとしている。

ABSは、海上における自律・遠隔操作機能の開発支援において、世界的な強みを持っている。ケッペル・オフショア・アンド・マリン(本社:シンガポール)が開発した遠隔操作式の港湾タグ(注)は2021年10月、ABS規則が求める自律・遠隔制御機能に適合したことを示す船級符号「REMOTE-CON」を世界で初めて取得した。

ABSのグローバルエンジニアリング・テクノロジー担当シニアバイスプレジデントであるパトリック・ライアン氏は「当協会は、世界中の主要なパートナーと自律・遠隔制御技術に関するプロジェクトに取り組み、海上での実用化支援を先導してきた。このため、当協会はスペースXのユニークでエキサイティングなプロジェクトに協力するにあたって、理想的な立場にある」と述べている。

(注)港湾で船舶や水上構造物を押したり引いたりするための船を指す。

(沖本憲司)

(米国)

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